最近は、クルマやオートバイなどの免許を取ろうとするときは、ほとんどの人が自動車学校に通います。
自動車学校では、仮免試験を受ける時や卒業する時などは、技能検定に合格しなくてはいけません。
技能検定はめちゃくちゃ緊張します!
クルマの検定では、技能検定員が助手席に!
オートバイの検定では後ろから技能検定員の乗ったクルマがピタリとつけてきます!
絶対に緊張します。
そこに追い打ちをかけるように技能検定員が怖い顔をしてこちらを見ています。
緊張感、爆上がり!
私は自動車学校に勤務して、教習指導員歴25年、技能検定員歴23年の経験があります。
そんな私の経験から解説します。
「ムスッとした技能検定員」が実際はどんなことを考えているのでしょうか。。。

技能検定員は心から「合格して欲しい」と願っています。

この記事を読み終わったころには、技能検定員の心情が何となく理解できるようになっていることでしょう。
検定員の心情が理解出来れば、多少は気持ちを楽に技能検定を受けられるようになると思いますよ。
この記事では、以下のように検定員の本音を解説していきます。
- 決まり事として
- 技能検定員がムスッとしているように見えるのはなぜか
- 検定員別の合格率
- 教習指導員との関係
- 嫌われるよりは好かれたい
- 検定中は恐怖心との闘い
- 検定員も気分良く帰りたい
ひとつづつ解説します。
決まり事として
技能検定員が検定をするには決まりごとがあります。
かなり大雑把に言うと以下のことが決まっています。
- 技能教習の大半を担当した検定員ではないこと
- クルマなどの検定の場合は公平性を保つため、誰かを同乗させること
- コース案内以外のことはしゃべらないこと

技能教習の大半を担当した検定員ではないこと
受検者の技能教習の多くを、指導員として担当したら検定をすることができません。
同様に、技能教習の最後の時間「みきわめ」の教習を担当したら検定はできません。
自分で運転を教えた教習生にはどうしても情が移ります。
合格させたくなってしまいますもんね。
私の勤務していた自動車学校では、1時間でも技能教習を担当したことがある検定員は、その教習生には検定には当たらないようにしていました。
「初対面の検定員」に検定を担当するようにしていました。
検定員が公平公正に検定をするためです。
クルマなどの検定の場合は公平性を保つため、誰かを同乗させること
普通車など第3者が同乗できるような車種の検定をする場合は、誰かをいっしょに乗せていないといけません。
「正しく、公平公正に検定をするように」ということだと思ってください。
基本的には「次に検定を受ける受検者」を後部座席に乗せることが多いです。
もうこれだけで、車内は緊張感に包まれます。

コース案内以外のことはしゃべらないこと
検定中、検定員はコース案内以外の余計なことはしゃべれません。
「練習ではなく試験だから」です。
コース案内以外でしゃべるのは「このままだと危ない」時と「他の人に迷惑がかかる」時だけです。しかもその場合は必ず減点されます。
受検者から何か質問されても答えることも出来ません。緊張感はさらに高まります。
基本、検定中は黙って乗っていなければいけないのが検定員です。

技能検定員がムスッとしているように見えるのはなぜか
検定員はムスッとしているように見えます。
検定中という緊張感の中で「ほぼ初対面」で「余計なことはしゃべっちゃいけない」うえに「後ろの席にも緊張している人が乗っている」という状況の中で検定をしなくてはいけないのです。
無表情でいるから「ムスッとしているように見える」だけなんです。
逆にそんな状況で黙ってニコニコしていたら気持ち悪いです。。。
検定員は「出来るだけ無表情を装っている」のです。

検定員別の合格率
技能検定員も、自動車学校に勤務している会社員です。勤務する会社に貢献しなくてはいけません。
検定員には「検定の合格率」というのがあります。
検定員の立場としては「効率よく教習生を卒業させる」ことと「自動車学校の評判を良くする」ことが求められるのです。
教習生には「一発で合格して欲しい」し「気持ちよく卒業して欲しい」のはもちろんですが、検定員は「自分の検定合格率を下げたくない」のが本音。「検定合格率が高い検定員」でいたいのです。
教習指導員との関係

ほとんどの検定員は「教習指導員」でもあります。
自動車学校の指導員たちは、仲が良いことが多いです。たぶん。。。
同じ職場で働く以上は、お互いに良い関係を保ちたいですよね。
仲が良い指導員が担当する教習生を不合格にはしたくはありません。
指導員から「担当の教習生、嫌な検定員に当たっちゃったなあ」と思われたくもありません。
管理職である上司からも「お前はまた不合格にしたのか」という顔で見られたくもありません。「良い職場環境は良好な人間関係から」なのです。
嫌われるよりは好かれたい
検定員も人の子です。
不合格となった受検者から「落とされた」と思われたくありません。
検定が終わったあと、泣かれることもあります。
合格したとしても「感じの悪い検定員だった」とか「検定員が怖かった」と思われたくはありません。
どこかですれ違ったときに「げっ!この前の検定員じゃん!」と思われるよりは、できれば軽く「ニコッ」くらいはしてもらいたいものです。
「感じの良い検定員だったよ」と友達などに話してもらいたいのです。

検定中は恐怖心との闘い
技能検定はコース案内以外は出来ません。
技能検定は「黙って見ていなくてはいけない」のです。
これが怖い。。。
検定中は本当に怖い。。。
これ
ホンネです。。。

場内検定では
- クランクのポールに当たったりしないか
- 縁石に乗り上げたりしないか
- 脱輪しないか
- 他の検定車の妨害をしたりしないか
- 急ブレーキを踏まれたりしないか
- バイクは転倒、ケガなどないか
路上検定では
- 信号でエンストしないか
- 進路変更などで一般車の迷惑にならないか
- クラクションを鳴らされたりしないか
- 歩行者に気が付いているのか
- 飛び出しなど無いだろうか
- ちょうど、信号が変わりそうだけど止まれるのか
冬期間は「凍結路面」「積雪路面」
恐怖心に耐えて黙って乗ってないといけないのです。

検定員の表情は「ムスッとしている」どころでなく「引きつっている」のかもしれません。。。
検定員も気分良く帰りたい
検定員も会社員でした。
技能検定は仕事なんですよね。
仕事である以上は「やりがい」が欲しいし、終わった後は「達成感」を味わいたいものです。
卒業していく合格者の笑顔を見ているのは、何とも気持ちの良いものです。
「全員合格」という響きは検定員にとっても心地よいです。
「今日も一日、良い仕事が出来た」と思いながら家路につきたいです。
技能検定を受検するのは大変なプレッシャーです。
大変な緊張感のなか、実力を出し切って合格を勝ち取るのは大変なこと。
私が検定員として見ていた時も受検者からの緊張感がビシビシと伝わってきました。
たしかに検定員のことが怖く見えてしまうこともあるでしょう。
しかしこの記事を読んで、検定員側の心理も少しは理解していただけたでしょうか。
検定員がどんなことを考えているのか、少しでも理解できれば多少は緊張感も和らぐと思います。
これから受検を目指している人は、ぜひこの記事の内容を思い出して、役立てて欲しいです。
検定受検前に音楽を聴いて集中力を高める人が増えてきました。
もしも、あなたもそうであるなら、より集中できるように、新しいイヤホンを用意しておくのも良いのではないでしょうか

検定員は、間違いなく心の中であなたを応援しています。
がんばってください。
そして!
合格したあかつきには、自分へのご褒美も忘れないようにしましょう!



