大型二輪免許を取得する人にとっての難敵「波状路」。卒業検定で多くの人が苦戦する「波状路」を確実にクリアするためのノウハウをまとめました。立ち姿勢の取り方からアクセルワークなど、波状路攻略に的を絞って解説します。この記事をきっかけに不安が解消されて、自信を持って検定を受けることができればと思います。

オートバイで卒業検定を受検する時の課題に波状路というものがあります。
ガタガタするようなコースを、バイクに立ち乗りしてゆっくり走ってるの、見たことありますよね。
波状路は、大型二輪特有の課題です。
普通二輪等には「波状路」という課題はありません。
それだけ、大型二輪車を運転するには高度な運転技術が要求されるんですね。



波状路の課題履行条件
自動車学校で「高度なバランス走行」のカテゴリーとして扱われるのが波状路です。
課題履行条件の考え方は、一本橋と同じと思って問題ないでしょう。
※一本橋についての記事をご覧になりたい人はこちらをご覧ください。
↓
一本橋
運転姿勢
波状路コース内は、立ち姿勢で通過しなければいけません(AT免許は着座姿勢でも可)。
波状路を完全に通過しきる前にシートに座ってしまうと減点となります。
リアタイヤが最後のギャップを通過しきるまで、気を抜かないように注意してください。
通過速度
基準の通過時間は、おおむね5秒以上となっています。
時間の計測は、フロントタイヤを基準に行います。
フロントタイヤが波状路の最初のギャップ(段差)に差しかかったら計測開始です。
そしてフロントタイヤが最後のギャップを通過したところで計測が終わります。
5秒以下で通過すると減点の対象となります。
計算の仕方は、一本橋やスラロームとは少し違います。
一本橋やスラロームでは、基準タイムから離れたら離れた分だけ減点になります。
1秒こえたら何点、2秒こえたら何点。となります。
可能な限り、基準に近いタイムで通過したいですよね。
波状路の場合は違います。
5秒以上だったか
5秒以下だったか
だけで判断します。
大幅に速すぎても
ギリでダメだったとしても
だめはダメ。
減点です。
両者に差はありません。
検定中止事項
検定が中止とされる内容は、一本橋とまったく同じです。
- 脱輪
- エンスト
- 足つき
- 転倒
すべてが検定中止となります。
- 前後タイヤのどちらかが波状路コースから外れてしまった場合
- 通過中にエンストしてしまった場合
- 足を着いてしまった場合
- もちろん転倒も
すべてが検定中止となります。
一本橋と同様に、フロントタイヤが波状路コースをクリアしていても、リアタイヤが脱輪してしまうと「脱輪」。
検定は中止です。

波状路を通過するためのポイント
速度調節
波状路を通過するために大切な最初のポイントです。
立ち姿勢になる前に「いかに半クラッチを決めきるか」
半クラッチが決まっていない状態で立ち姿勢にもっていったり、波状路コースの中でいつまでも半クラッチの調節をしていると失敗につながります。
速度調節のポイント
進入手前はブレーキできっちり減速する
まだ立ち姿勢にならないでください。
ブレーキで狙った速度まできっちり減速します。
残念な減速の仕方
- なんとなくブレーキを使って減速を始める
- とりあえずクラッチを握ってしまう
- 速度に関係なく、指導員に言われたとおりにローギアにしておく
- 惰性で走行しながら少しずつ速度を落としていく
- 惰性で走行しながらクラッチレバーを少しだけはなす
- 惰性で走行しながら立ち姿勢にする
これは残念なやり方です。
毎回微妙に違った進入速度になり練習になりません。
これをやっていても指導員が何も言ってこなかったら、それは指導員の力量不足か怠慢です。
惰性で目的の場所までに狙った速度にするのは相当高度な技術なのです。
正しい減速の仕方
- 前後ブレーキを使って自分の思っている速度までしっかり減速。
- エンジンが苦しそうになる。
- エンストしないようにクラッチを握る。
- ローギアにする。
- じゅうぶんにゆっくりになったら「その速度を維持するために」半クラッチにする。
- 半クラッチで速度を一定に保つ。
- 半クラッチをキープして立ち姿勢に。
波状路進入の直前に、焦って調節し直すことのないようにしましょう。
姿勢
立っていればよいわけではない
次に気をつけたいのが、立ち姿勢です。
体重が後ろに下がらないように気を付けてください。
細かい表現をすると、重心がステップよりも後ろにならないように注意してください。
最悪、オートバイのコントロールが出来なくなって、暴走ということも考えられます。
どこで身体を支えるか
まず大切なのは、立ち姿勢を取るときに、どこで身体を支えるのか。ということです。
まず、ハンドルグリップに体重を預けないようにしてください。
立ち上がるときに、ニーグリップを意識してください。
ニーグリップしている時の「ひざの関節を起点」に立ち上がり、体重はステップに乗せると良いです。
意識としては、ニーグリップをしていたひざの関節の真上に腰が来るようにしてください。
慣れないうちは、センタースタンドを立てて、ひざの関節を起点に、立ったり座ったりを繰り返してみると良いです。
ある程度、イメージができてきたらローギアでゆっくりと走行しながら、立ったり座ったりを繰り返してみてください。
これらを繰り返してから、実際に波状路に入ってみることをお勧めします。
逆に言うと、このイメージがしっかりできていないうちから、波状路に挑戦しないでください。
緊張感と恐怖心もあり、少しでもバランスを崩してしまうと、重心がステップよりも後ろに移動してしまいます。すると立ち姿勢のままアクセルを回してしまうことになります。
暴走の危険もありますので、くれぐれも注意してください。
順を追って課題をクリアするようにしましょう。



段差の対応の仕方
運転姿勢
フロントタイヤとリアタイヤが段差をこえるたびに車体が揺れます。
それに合わせて体が揺れるようでは、正しい運転操作はできません。
「ひじ」と「ひざ」に余裕を持たせた姿勢で「ひじ」と「ひざ」でショックを吸収させます。
頭の位置と上体は動かないようにしましょう。
バイクだけガタガタ動いて
上で操作している人間は動かない。
「ギャップに乗るたびに頭が揺れる」ことのないように意識すると良いです。


アクセルとクラッチの調和
波状路コース内でクラッチを細かく調整するのは、私はお勧めしません。
エンストの可能性がかなり高くなるからです。
波状路コースに進入する前に、半クラッチの状態をしっかり決めきることが大切だと考えています。
半クラッチの状態をしっかりとしたうえで、前後輪がギャップに乗るタイミングに合わせてアクセルを軽くあおるようにするとさらに良いです。
ただ、まだ慣れていないうちからアクセルを操作しようとすると、真下を見たままの運転になったり、アクセルグリップを真上から持ってしまい、バランスを崩したときに不意に加速してしまうことも考えられます。
立ち姿勢を基準にしてアクセルグリップを持つのはNGです。
そのまま座ってしまうと、ほぼアクセル全開になります。
グリップの持ち方は、座った状態を基準にするとより安全です。
今、大型二輪の教習でメインに使われているNC750であれば、ローギアで少し強めの半クラッチにしておけば、卒業検定の基準タイムはクリアできます。
不安な人は、アクセルを使わずに半クラッチのみで通過するのもありです。
波状路に自信のない人は、半クラッチだけで卒業検定を乗り切りましょう。
まずは、卒業検定を無事にクリアすることが大切です。
まとめ
波状路は大型二輪特有の課題です。
これまでになかった立ち姿勢での運転なので、慣れるまでは怖いかもしれません。
しかし、コツをつかんでくると、むしろ楽しくなります。
どうしても恐怖心がぬぐえない人は、小さなオートバイから始めてみるのも良いかもしれません。
波状路は、自動車学校特有のコースではありません。
ツーリング先で、急に舗装路面でなくなったりしたときなど、立ち姿勢の練習をしておいて良かったと思うようなシチュエーションに出会います。
一本橋やクランクなどと同じように、「この練習はどの様なシチュエーションを想定した練習なのか」を意識するだけで、上達にかなりの差が付きます。
卒業検定のような緊張した状況の中で落ち着いた走行が出来るように、しっかり練習しておきましょう。