卒業検定。無事にコースを走り終えても、最後の降車手順で失敗してしまったら…。そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、降車手順を解説。いざという時にも合格に繋がる3つのポイントもお伝えします。
オートバイから離れるまで「検定中」
卒業検定が近づいてくると何となく落ち着きませんよね。
一本橋、クランク、スラローム、急制動を順調にクリアして、ゴール地点である「発着点」に戻ってきます。
技能検定はいつから始まって、いつまでが採点されるのでしょうか。。。
実はオートバイから完全に離れるまでが「検定中」です。
この記事では、元指導員の私が「オートバイから降りる手順」のみにフォーカスを当てて詳しく解説。
さらに、いざという時に合格を掴み取るための「3つのポイント」もお伝えします。

降車手順
降車手順を確認していきましょう。

停止までの手順
- 発着点に近づいたら左ウインカーをつける
- 走行位置を左によせる
- 前後輪ブレーキを使って減速
- 停止位置が近づいてきたらクラッチレバーを握る
- 左足をステップから離して停止の準備
- 車両の先端(オートバイは前輪の先)を指定された停止目標(発着点のポール)に合わせて停止
停止後の手順
- 左ウインカーを消す
- ギアをニュートラルにする(自動車学校によってはローギア)
- エンジンキーをOFFにする
降車・安全確認の手順
- オートバイから降りる
- サイドスタンドを出す
- オートバイの車重をサイドスタンドに預ける
- オートバイに正対してまわりの安全を確認する
これで降車手順は完了です。
ひとつづつ、解説していきましょう。
停止までの手順
1.発着点に近づいたら左ウインカーをつける
一般的に発着点に止まるときは左ウインカーをつけます。
- 左折して発着点に入るコース=左折時のウインカーをそのまま継続。
- 右折して発着点に入るコース=右折終了後に直接、右折ウインカーから左折ウインカーに切り替えます。
右左折ウインカーについての詳しい記事はこちら
↓
右左折合図について

2.走行位置を左によせる
発着点では左寄りの走行位置を取ります。
左寄りとはいっても極端に寄せる必要はありません。
通常の左寄りの走行位置と同じで良いです。
停止したときに左に引いてある線を、足で踏まない程度で大丈夫です。
普段の教習のときから、意識して足を地面に着いて感覚を養っておくと良いです。
走行位置についての詳しい記事はこちらから
↓
走行位置
3.前後輪ブレーキを使って減速
直前の右左折を終わらせたあと、まったく速度を変えないで発着点に向かおうとすると、かえって「ふらつき」の原因となります。
発着点までのわずかな直線も軽くアクセルを使って車体を安定させるのがおススメです。
アクセルを使ってスッとまっすぐになったオートバイを、ブレーキを使って落ち着いて停止させます。
停止直前でキュンと止まるのは「格好悪い」のと「バランスを崩しやすい」ので、発着点にはゆっくりと停止したいです。
前後輪ブレーキのバランスを上手く調整しながら速度を落としていきましょう。
早い地点で速度を落としすぎると一本橋の練習みたいになってしまいます。
ある程度の速度を保ちながら、停止位置が近づけば近づくほど、前ブレーキから後ろブレーキにバランスを移していきましょう。
コース設定によっては、クラッチレバーを握るまで全くブレーキ操作が必要ないコースもあります。このあたりの微妙な加減は事前に指導員に確認しておくと良いでしょうね。
安定した走行の方法についての詳しい記事
↓
安定した走行
停止時のブレーキバランスについての詳しい記事はこちらから
↓
安定した停止

4.停止位置が近づいてきたらクラッチレバーを握る
速度が落ちるにつれてエンジンが苦しそうになってきます。
そのタイミングで惰性走行に切り替えてクラッチレバーは握ってしまいます。
1番の発着点に止まる場合は、2番の発着点あたりで握っても良いでしょう。
クラッチレバーを握ったら、そのままローギアに落とします。
5.左足をステップから離して停止の準備
ローギアに落とし終わったら、左足はステップから離して着地の準備をします。
無用に左足を地面に着かない
ちゃんと停止していないうちから地面に足をつけるのはやめましょう。
実際に停止する前から左足を地面に当てたりすることです。
例えば、チョンチョンと左足を着きながら
ズルズルと左足を地面に引きずりながら
これらは減点の対象となります。
発着点にかかわらず、どの場所でも減点されるので注意です。
無理してローギアにこだわらない
その一方で
「停止時はローギアにしなければいけない」
という取り決めはないので、無理にローギアにしようとして焦って失敗するくらいなら、ギアはそのままにして「安定した停止に全集中」するのもあり。
停止してからギアを変えれば良いだけの事なのです。

6.車両の先端(オートバイは前輪の先)を指定された停止目標(発着点のポール)に合わせて停止
発着点に停止する時は、車両の先端(オートバイは前タイヤの先っぽ)と発着点のポールを真横から見た時に一致させるように停止します。
前に出すぎても、手前過ぎても減点の対象です。
しっかりと合わせましょう。
停止位置はしっかり決める
注意点は「最初に止まった場所で採点」されるという事です。
「あ、手前過ぎた。。。」と少し前に出し直して、ポールとタイヤの先端を合わせ直しても意味がありません。最初の「手前過ぎた状態」で採点されてしまいます。
前に出すぎた状態も同じです。ポールに合わせようと後ろに下がっても「すでに採点された後」という事になります。
停止位置は一発で決めてください!
停止後の手順
1.左ウインカーを消す
停止したら左ウインカーを消しましょう。
発着点に停止したらすぐにウインカーを消すのが理想です。
しかし、ウインカーを消し忘れていても、最後にエンジンキーをOFFにすればウインカーは消えます。それでも良いのです。
そのまま終わらせても構わないですし、エンジンキーをOFFにしてからウインカースイッチをOFFにしても全然問題はありません。
ウインカーは消し忘れても大丈夫
最後にウインカーを消し忘れたと思って焦る必要は全くありません。
安心してください。
キーをOFFにしたら、ちゃんとウインカーは消えます。

2.ギアをニュートラルにする(自動車学校によってはローギア)
発着点で停止したらギアをニュートラルにします。
自動車学校によってはローギアにするところもあります。
ニュートラルにしたら左足を地面に戻し、右足でリアブレーキをかけ直します。
エンジンを止めるまでは、クラッチレバーは握ったままにしておいてください。
注意点は、ギアをニュートラル(ローギア)に変えようとするときには右足を地面に着きます。
右足を地面に着く時は、必ず右うしろの安全を確認してからにしてください。
また、上記しましたが「停止時はローギアにしなければいけない」という取り決めはないので、無理にローギアにしようとして焦って失敗するくらいなら、ギアはそのままにしておいても構いません。
3.エンジンキーをOFFにする
フロントブレーキレバーを放し、右手でエンジンキーをオフに。
そしてフロントブレーキレバーを握り直します。
この間「クラッチレバーは握ったまま」「リアブレーキペダルを踏んだまま」にしておくのを忘れないようにしましょう。

降車・安全確認の手順
1.オートバイから降りる
エンジンが止まったら、フロントブレーキレバーは握ったまま、クラッチレバーを放します。
オートバイから降りる時は、必ず右うしろの安全を確認をしてください。
フロントブレーキは掛けたままです。
※小柄な人は「降りる前にハンドルを少し右に切ってから降りる」と降りやすくなります。
2.サイドスタンドを出す
オートバイの車体を直立の状態にして、サイドスタンドを出します。
ハンドルは真直ぐにしておいた方がバランスを取りやすいのでおススメですが、小柄な人はハンドルを少し右にしておくとやり易いかもしれません。
スタンドを出す足は、一般的にやりやすいのは右足ですが、どちらの足でも構いません。
自身のやりやすい方の足でスタンドを出しましょう。
前ブレーキを離してしまうとふらつく原因になるので、ブレーキレバーは握ったままにしておきます。
サイドスタンドがしっかりと出たのかを確認!
なかには途中でサイドスタンドが地面に接地してしまい、それを出しきったと誤解してしまう人もいます。
必ずサイドスタンドがしっかりと出たのを確認しましょう。

3.オートバイの車重をサイドスタンドに預ける
サイドスタンドがしっかりと出たのを確認したら、オートバイをゆっくりと倒してサイドスタンドに車重を預けます。
手を放しても大丈夫な状態になったのを確認したら以下の順でオートバイから手を離します。
- ハンドルを左いっぱいにする
- フロントブレーキを離す
- オートバイから離れる
4.オートバイに正対してまわりの安全を確認する
オートバイから離れたら、オートバイに対してまっすぐ正面を向きます。
そして右・左とオートバイの前後の安全を確認します。
これで卒業検定時の降車の手順は終わりです。
検定員のところに行って、ワンポイントアドバイスを聞きましょう!
技能検定終了後は検定員からのワンポイントアドバイス
走り終わった後は、検定員から必ず「ワンポイントアドバイス」があります。
今後の運転についてのアドバイスなので聞き逃さないようにしてください。
検定員からのアドバイスは、あなたの良かった点を褒めるためではなく、今後の運転で気をつけるべき点を伝えるものです。
「この部分はもっとこうしたほうが良いですよ」というアドバイスなので、たくさん注意されたからといって「不合格なわけではない」です。
今後のためにも、しっかりとアドバイスを聞いておきましょう。
ワンポイントアドバイスとは
卒業検定に合格だった場合は「一般公道を走行する時の注意点」。
卒業検定に不合格だった時は「次回、技能検定を再受検する時の注意点」なのです。
発着点での失敗例!
せっかく発着点に戻ってこれたのに、こんな失敗をする人がいます。
- エンジンを止めるのを忘れて降りてしまう人。
- 降りようとして、右足をステップから上げた時にバランスを崩してしまう人。
- 降りた後に、オートバイを右側に倒してしまう人。
- サイドスタンドを完全に出しきっていないまま手を放して、バイクを左側に倒してしまう人。
検定で、教習で、いろいろな失敗を見てきました。
完走できたのに最後で検定中止になってしまうなんてもったいなさすぎる
まとめ
先にも触れましたが採点の範囲は「オートバイに乗るところから、降りて離れるまですべて」でした。
どうしても発着点に戻ってくるとホッとしてしまいます。ついつい気がゆるんでしまいます!
最後まで、気を抜かないようにしましょう。
新たな出会い ワクワクの合宿免許【マイライセンス】
これを覚えておけば何とかなる3つのポイント
検定コースを走り終わったら発着点に戻ってきます。
ホッとして。。。
バイクの降り方がアタマから抜けてしまったりしたら。
降り方の手順が微妙に分からなくなってしまったら。
手順が分からなくなっても、この3つのポイントさえ覚えておけば何とかなります。
- ブレーキは必ずかけておく(基本は前後輪同時)
- 乗る時、降りる時、右足を地面に着く時。必ず右うしろの安全確認
- エンジンがかかっているときは、クラッチレバーは握っておく

最後の降車手順で減点となってしまわないように、気を抜かず最後の手順までやりきりましょう!
合格発表は受検者全員の走行が終わってから
全員の走行が終わるまで水分でも取りながら、いろいろと自分の運転を思い返しながら、落ち着いて待ちましょう。
凝り固まった身体をストレッチでほぐしながら、他の受検者とあーでもないこーでもないと談笑しながら「とりあえず終わったぁ。。。」という雰囲気の中、みんなで発表を待っているのも楽しそうです。
走行が終わった受検者同士で仲良く話しているのを見るのも、この仕事をやってきて良かったなって思える瞬間のひとつなんですよ。

検定の採点について。乗車の手順。
こちらに別の記事としてまとめてありますので興味のある人はご覧になってください。
↓
超緊張。卒業検定を突破!合格するためのノウハウを伝授 検定説明①
緊張する卒業検定!バイクの乗車手順を徹底解説。 オートバイの乗車手順
もちろん、頑張った自分へのご褒美の準備も忘れずに。。。
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