「自動車学校は怒られる・怖いところだ」と思って入校することを迷っている人、ためらっている人はいませんか?
「指導員に怒られた」「延長を付けられた」などの話を聞いたことがあるかもしれません。
この記事では、教習指導員歴25年を経た私だから語れる本音の「指導員の気持ち」と「諸事情」をお伝えします。
この記事を読んだ後には「自動車学校に通う時は少しでも予習しておくべきだ」「やはりしっかりとした心構えで自動車学校に通わないとな」と思っていただけると幸いです。
東京近郊にお住まいの方はこちらに問い合わせてみるのも良いですよ。丁寧に答えてくれます。
↓
自動車学校とは
そもそも「自動車学校」とはどういう場所なのでしょうか。
一般的に言われている「自動車学校」や「教習所」。正式には「指定自動車教習所」と言います。「ジガク」と呼ばれていたり「シャコウ」と呼ばれていたりするところですが「指定自動車教習所」とは何か。
指定自動車教習所とは「一定の基準を満たしたうえで、公安委員会から認められた自動車運転の教習を行うところ」とでもいえばよいでしょうか。
自働車運転免許証を取得するためには、公安委員会が行う「適性試験」「学科試験」「技能試験」に合格しなくてはなりません。
しかし、指定自動車教習所が発行した有効な卒業証明書を持っていれば、運転免許試験場で受けられる試験のうち「技能試験を受けなくても良い」ことになります。
自動車学校の卒業証明書があれば、運転免許試験場で行う「適性試験」と「学科試験」に合格すれば、運転免許証がもらえるということです。

自動車学校で働く教習指導員の人たちは、公安委員会による厳しい試験に合格したうえで、自動車学校の指導員として働いています。一般的に抱かれる自動車学校の印象は、この「指導員」の印象によるものが大きいのではないでしょうか。
もちろん他にもフロント職員の対応や技能検定員の印象によるところもあるのでしょうが、全体的な割合でいうと教習指導員の印象が強いと思います。
自動車学校は教習生から教習料金をいただくことによって経営が成り立っています。
お客様から料金を支払っていただき、教習をしているということですね。
指導員も教習生には好かれたい。
教習で嫌な思いをした
指導員にキツイことを言われた。
自動車学校は、自動車を安全に運転出来るように教育する教育機関でもあります。
技能教習中は、教習生が危ない運転をしたり、しそうになった時には、教習生や周囲の交通に対して安全を確保するためにも、とっさに対応しなくてはいけません。
延長教習が付きそうなときや、路上教習中で一般交通の迷惑に成りそうな時には、教習指導員の口調が強くなったりすることもあるかもしれません。

指導員だって怖い思いはしたくないです。教習指導員は、自動車学校を経営している会社に雇用されています。自動車の運転に対しての「教育者」であると同時に、自動車学校という会社の「営業職員」でもあります。
普通に考えると営業がお客様に対して不愉快な思いをさせてしまうと商品を買ってもらえなくなるのと同じです。もちろん、指導員もそのことは十分に理解しています。
お客様でもある教習生に「嫌な思いをさせたくない」のが本音です。
お客様に対して嫌な思いをさせてしまった指導員は、運転を教えるこのプロとしてはまだまだ未熟です。
指導員に延長をつけられた
自動車学校には、技能教習の最短時限数というものがあります。
自動車学校に入校する時には、最短時限数を基準に教習料金を払うのが基本です。ですからもし最短時限数を超えた場合には延長料金が発生します。
延長や補習がついてしまうと、その都度、延長・補習料金を支払わないと教習が進められなくなったり、卒業証明書がもらえなかったりします。
支払う側としては「延長料金は出来ることなら支払いたくはない」です。
指導員としても、余計な料金を発生させて教習生に嫌な思いをさせたくないのが本音です。
それこそ「延長をつけられた」と思われたくはないのです。
自動車学校も延長教習を望んでない
延長教習が付いたということは「余計に教習を受けなくてはいけない」ことになり、延長料金も発生するのでこれは避けたいところです。
自動車学校としては、延長教習とは「他の教習生の教習をするはずだった時間」が1時間無くなったことになり、他の生徒さんにも迷惑がかかるのです。
指導員も、自分が担当する教習生全員の卒業日程が延びることになります。延長教習はつけたくないのです。
延長・補習教習は効率が悪いばかりでなく、評判・クチコミにも影響が出ますから、自動車学校も延長・補習教習は避けたいのが本音なのです。

指導員は「何とか上手に運転できるようになってほしい」と試行錯誤
「指導員によって言うことが違う」「前回に乗った指導員とは違うことを言っている」と思うことがあります。
指導員は、教習生に対して
「何とか延長・補習が付かずに卒業出来るように」
「何とか限られた時間の中で安全な運転が出来るようになってほしい」
そう願いながら教習をしています。
そのため「どういう言い方をすれば分かってもらえるのだろうか」といろいろと教習生に伝わる「言葉」や「言い回し」を考えながら、教習生の理解度に合わせて試行錯誤します。
技能教習には教習生の運転のレベルに合わせた指導が必要です。
「今回の教習ではこれだけは出来るようになってほしい」
「前回はこれにだけに集中して教習したので、今回はこれにも気を付けて運転して欲しい」
など技能教習の進み具合によって内容がレベルアップしていきます。
また、教習生の運転レベルの向上とともに
- 道路の込み具合
- 先の信号の状況
- 後続車や対向車
- 歩行者の有無
周囲の交通の状況の違いによってアドバイスの内容も変わります。
昨日は晴れていたので左寄りで良かった走行位置も、水たまりがあると真ん中よりのほうが良い時もあります。
指導員は、その時の状況に合わせた指導を心がけています。

教習指導員もサラリーマン
指導員も、大きく(小さく?)見れば、ただの会社員です。自分に対しての経営陣からの評価を下げたいわけではありません。評価が下がれば、査定が下がることも十分にあり得ます。
経営の側からすると、次のように各指導員を評価する基準があります。
- 規定時間内で卒業させているか
- 合格率は高いのか
- 指名されているか・忌避されていないか
- 入校生の紹介はあるのか
- クレーム案件はないか
- トラブルは無いのか
- 教習中の事故は無いか
- 交通違反はないのか
そして、指導員にも生活があります。ボランティアで指導員をしているわけではありません。
- 会社から給料をもらっています。
- 会社からの評価を下げたくないです。
- 指導員にも家族がいます。
- 指導員なりに努力して教習をしています。

教習指導員とは「人気商売」
指導員も人間なので、教習生から嫌われたくはありません。
出来れば、卒業した後で自分に会いに来てくれる卒業生がいて欲しい。
もし、自動車学校に対してネガティブなイメージを持っている人は、この記事のことを思い返してみてください。
「あぁ、指導員も人間だもんなあ」と思えば少しは気持ちが楽になりませんか?
お互いに気持ちよく教習を進めるために、出来るだけ予習してから教習に向かいましょう。
指導員を指名することも、拒否することも出来る。
私は教習指導員という仕事が好きでした。
私が見てきた指導員の多くが、試行錯誤しながら各教習生に応じた教習に一生懸命だったと思っています。
気に入った指導員、今後専従になって欲しい指導員がいたら、フロントに専従してもらうことが可能かどうか聞いてみてください。
人気のある指導員はすべての教習が指名されていたりしますので「指導員の人気度にもよります」が、可能な限り対応してくれるでしょう。
逆に「人対人」ですから、中にはどうしても合わない指導員もいるでしょう。
嫌いなタイプの指導員もいるかもしれません。※気になる人は「裏側を暴露!こんな指導員には要注意!」の記事もご覧になってください。
そんな時は受付に行って、その指導員が今後自分に当たらない様にしてもらって下さい。とても簡単に「忌避」にできます。
考えたくはありませんが、「指導員の態度」や「教習内容」が悪質と思われたときは、フロントに相談してみてください。
必ず対応してくれます。
二度と教習に当たらないようにしてくれます。
嫌な思いを抱えたまま、自動車学校に通うことはありません。
即急に対応してもらいましょう。

自動車学校の職員は間違いなく「教習生に自動車学校を好きになって欲しい」と思っている。
自動車学校で働く教習指導員も、1人の会社員であり、生活があり、人気商売です。
そして何より、教習指導員は人間なのです。
会社員である以上は(中には市町村運営の自動車学校もありますが)営業成績があり査定があり評価があります。
延長教習が多い指導員や、苦情が多い指導員は、会社としても教習させたくありません。
自動車学校という業務の評判に影響されるからです。
成績の良くない指導員は「研修」を受けさせられたりもします。
雇用形態によっては、「教習をする・しない」で1時間当たりの報酬にも差が出ます。
教習生に選んでもらえなければ、収入が下がるところもあります。
せっかく教習をしたならば、教習生から「良い指導員だった」という印象を持ってもらいたいです。
次回の教習で、再度指名して欲しいのです。
周囲のお友達などに「○○指導員は良かったよ」と伝えて欲しいのです。
それらの結果、会社の営業職員でもある指導員は査定がアップし紹介者数も増え、収入アップにつながります。
私は教習指導員という仕事がとても好きでした。
指導員歴25年を経て、指導員を辞めた私だから綴れる「指導員の本音」と「諸事情」でした。

※この記事は、教習指導員として25年勤務してきた私の個人的な感想です。ご了承ください。