「オートバイの坂道発進って難しそう」「普通車の坂道発進と何が違うの?」そんな不安をお持ちの方。この記事では、緊張せずに自信を持って坂道発進ができるようになるコツを紹介します。
自動車学校でマニュアル免許(MT免許)を選んだ人が苦手な項目のひとつに坂道発進があります。
オートマチック限定免許(AT免許)を選んだ人は、簡単な課題だったでしょう。坂道発進の課題があったことすら覚えていない人もいるかもしれません。
そんな人もバイクの免許で坂道発進が出てきます。

クルマでの坂道発進の手順
- 坂道を上るときはいつもよりちょっと強めにアクセルを踏み込んで「停止位置」の標識に合わせて停止します。
- ハンドブレーキを強めにひいたら、坂道の勾配に負けてクルマが下がらないように確認しながら、ゆっくりとフットブレーキを放します。
- エンジンの回転をいつもより高めに維持します。
- そして半クラッチ。
- 後ろに下がらないように、操作のバランスを考えながら徐々にハンドブレーキを下ろしていく。
- 前進し始めたらハンドブレーキを下ろしきる。
- 頂上に着くまで発進の状態をキープ。
- 頂上に着いたらセカンドギアにして、下り坂では徐々にクラッチを放す。
- フットブレーキとエンジンブレーキを使って下り坂を下っていく。
何とも言えないビミョウな緊張感は、マニュアル免許の人じゃないと理解できない緊張感です。

助手席でも緊張していました
実は助手席の座っている指導員も結構緊張しているんですよ。
私も教習中、教習生が坂道発進する時は息が止まったり、なぜかお尻に力が入ってしまうものでした。
それは技能検定の時も同じです。
実は、助手席に乗って採点をしている検定員にも受検生の緊張感は伝わります。
検定員も黙って見守るしかないので呼吸の止まる思いです。
というか、私は呼吸が止まっていました。
- 後ろに下がらるなよぉ
- きれいに発進できますように
- ハンドブレーキ、ゆっくりおろしてくれよ
- 半クラッチ。キープしてくれよー
そんな思いで検定業務をしていたものです。

オートバイでの坂道発進
それを今度はバイクでやることになるとは。。。
坂道発進は、発進時に後ろに下がってしまうのは厳禁です。
- エンジンの回転数
- 半クラッチの具合
- 後輪ブレーキの緩め方
これらのバランスに注意です。
ハンドブレーキの代わりにリアブレーキ
オートバイでの坂道発進は、普通車の時ほどの緊張感はありません。見てる感じではおそらく。
普通自動車の免許を持っていない人でも、所持免許がオートマチック限定免許でも同じです。
オートバイの坂道発進は「コツもつかみやすい」し「そんなに心配するほどの課題ではない」というのが、教習をしていた立場からの見え方です。
おそらくですが「クルマとオートバイとの車重」の差。そして「ハンドブレーキの解除方法とリアブレーキを放すだけという操作」の差。それらが発進のしやすさに影響を与えていると思われます。※私個人の考えです。
クルマの坂道発進の時に使用した「ハンドブレーキ」をリア(後輪)ブレーキで代用するだけだと思うと、意外に簡単にクリアできますよ。


坂道発進の手順
では、オートバイでの坂道発進の手順についてお伝えします。簡潔に説明すると以下の通りになります。
- 停止位置付近まで登って停止
- ローギアを確認
- 後方の安全確認
- 発進
- 坂の頂上付近と勾配の急な下り坂は徐行
坂道発進は停止位置付近に停止してから発進してください。
普通車(MT)の運転免許を所持している人の中には、苦手意識を持っている人も少なくないでしょう。
上記しましたが、オートバイの坂道発進は、普通車でのハンドブレーキをリアブレーキで代用するだけ。
特にむつかしく考える必要はありません。
では順を追って細かく説明して行きましょう。
停止位置付近まで登って停止
坂道には「停止位置」と表記された標識が設置してあります。
標識付近に停止してから発進。
「標識付近」ですから、停止位置の標識近くで停止すればよいです。
多少、前すぎだろうが後ろ過ぎでもかまいません。
極端に言えば「前後輪ともに登坂にある状態」で発進できればオッケー。
自分よりも先に坂道発進をしている車両がいた場合は、坂道直前の平坦路で待機してください。
先行車両が発進し、先行車両の後輪(リアタイヤ)が頂上の平坦路に達したら、停止位置まで進みます。
停止直前に、ローギアにしましょう。
ローギアで止まれなかったら
停止位置でローギアに出来なくても慌てる必要はありません。
「停止時は必ずローギアにしてから停止すること」などという決まりごとはありません。
停止してからローギアにしてもまったく問題ないです。
ただし次の手順は必ず守ったうえでローギアにしましょう。
- フロントブレーキをかけたま
- 右うしろの安全確認をしてから右足を地面に着く
- ローギアにする
- 左足を地面に着なおして、フットブレーキを踏みなおす
この手順を守らないと「うっかり下がってしまう」などの失敗をする危険性があるほか、何かしらの減点が発生すると思ってください。
リアブレーキをしっかりと踏みなおす
普通車のハンドブレーキと同じように、リアブレーキペダルをしっかりと踏んでおきましょう。
リアブレーキをしっかりと踏んだら、フロントブレーキをはなしても大丈夫です。

発進のため後方の安全確認
発進するときにうっかり下がってしまったらマズいです。
発進する前に後方の安全確認をしておきましょう。
確認の方法は「ミラー」でも「直接目視」でも構いませんが、卒業検定での分かりやすさを考えると「直接目視」の方がおススメです。
発進に備えて、リアブレーキを踏んだままフロントブレーキレバーを放します。
エンジンの回転を上げる
アクセルを操作し、平地の発進より高めのエンジン回転数をキープ。
エンジンの回転は、タコメーターを見るよりも「エンジン音」で判断できるとベターです。
「平地の発進よりは回転数が高いかな」と思える程度でじゅうぶん。
半クラッチ
エンジンの回転をキープしたまま半クラッチにします。
半クラッチになったかどうかの判断はエンジン音。
エンジンの回転に負担がかかったか、エンジンの回転数が落ちたか、で半クラッチになった合図です。
アクセルグリップが緩んでしまってエンジンの回転が落ちてしまい、それを半クラッチになったと誤解しないように。
アクセルグリップを無意識にゆるめないように注意が必要です。
- アクセルグリップがゆるんでエンジンの回転数が落ちただけなのか
- 半クラッチになったからエンジンに負担がかかって回転数が落ちたのか
エンジンの音で聞き分けられるようになったら最高です。

発進
エンジン回転数と半クラッチの状態を維持したまま、少しずつリアブレーキをゆるめます。
前進し始めたら、もう大丈夫。
エンジンの回転数と半クラッチの状態は維持したまま、リアブレーキを完全に放します。
前後輪ともに坂道を登りきるまで我慢。
発進ができたら「アクセルと半クラッチはそのまま」をキープします。
坂道を登り切って頂上の平坦路にリアタイヤが乗るまでそのままキープ。我慢してください。
坂道を登り切って頂上の平らな道にリアタイヤがきたらセカンドギアへ。
フロントタイヤが下り坂にかかるのに合わせて、ゆっくりとクラッチレバーをはなしていきます。
前輪が下り坂にさしかかったらクラッチレバーを完全にはなす
前輪(フロントタイヤ)が下り坂にさしかかったら、クラッチレバーをはなしても大丈夫です。
フロントタイヤが下り坂に差し掛かるとエンストの恐れはほぼなくなります。
よほどのことがない限りエンストすることはありません。
フロントタイヤが坂の下まで引っ張ってくれる感じ。
心配な人は不安かもしれないですけれど、下り坂ではクラッチは放しましょう。
ちなみに検定だと「クラッチを操作したまま」または「クラッチレバーに指がかかったまま」だと、減点の対象になりますよ。。。

徐行の状態で坂を下る
- 坂の頂上付近
- 勾配が急な下り坂
坂道に関しては、以上の2か所は徐行義務があります。注意しましょう。
徐行とは
徐行とは以下の状態である事と学科教本に表記されています。
- いつでも止まれる速度
- ブレーキをしてから停止するのに1メート以内で止まれる速度
- 10㎞毎時以下の速度と言われています
操作上の注意
坂を下るときは、操作上、次の3つに注意してください。
- クラッチレバーを放す
- フロントブレーキを握る
- リアブレーキを踏む
オートバイでは「エンジンブレーキ」「フロントブレーキ」「リアブレーキ」の3つのブレーキが必要とされています。
そのうえで、ゆっくり坂を下らなくてはいけないのです。
走行位置
普段は左寄りの走行位置を維持していたのに、坂道発進だけは道路の真ん中を走行してしまう人もいます。
卒業検定では走行位置の「ふらつき」とみなされ減点の対象となってしまいます。
坂道発進に慣れてきたら走行位置にも注意するようにしましょう。


卒業検定で最も多い失敗!
ここで、卒業検定の時に最も多い「坂道発進の失敗例」を挙げます。
「最も多い失敗例」なので1つです!
それは
「ローギアで発進できない人」が多い!
クランクや一本橋、急制動後の発進でもある事ですが
「坂道発進で最も多い失敗例」は「発進時にローギアになっていない」ことなのです。
坂道に到達するまでに様々なコースを走行してくるわけですが、坂道に向かうあいだに受検者本人が自分の使っているギアを数え間違えてしまうのです。
ギアの勘違いですね。

例えば。
実際はサードギアで走行しているのに、本人はセカンドギアだと思い込んでいる。というパターン。
坂道発進のところで停止したときには「本人はローギアで停止していると思い込んでいて」。
でも実際にはセカンドギアになっていたりします。
セカンドギアで坂道発進をしてしまうのです。
本人はローギアだと思い込んでいるので坂道発進の時にはエンストします。
エンストした直後にギアを疑ってくれれば良いのですが「本人はローギアだと思い込んでいる」のでそのまま再発進を試み、またエンスト。
これを繰り返してしまいます。
技能教習にも卒業検定にもギアの指定はありません。
本人がセカンドギアで発進しようが、サードギアで発進しようが検定上問題はないのです。
検定員からすると「黙って見ている他はない」のです。
そして
技能検定では同一箇所である一定回数以上のエンストをすると検定中止になります。
このパターンに陥らないために、坂道発進でエンストしてしまった場合は「今はちゃんとローギアになっているのか?」も疑ってください。
もちろん、その時も上記した「ローギアで止まれなかったら」の手順を必ず守って操作してくださいね。
まとめ
「坂道発進」は教習や検定では緊張する課題のひとつです。
しかし、やってみると普段の発進とほとんど変わりありません。
気持ちの問題ですね。
ただ、卒業検定では上記で説明した操作手順を確実にこなしてください。
落ち着いて、ひとつひとつの操作をていねいにすれば大丈夫です。
びみょうに後ろに下がりそうだなと思ったら「ちょっとアクセルを多め」に「半クラッチをていねい」にリアブレーキを引きずる感じで発進すれば何とか出来ちゃいます。
ツーリングのほとんどは坂道発進
実際の話。
卒業してから一般道に出てしまえば、びみょうな坂道とかたくさんあります。
ツーリング中のほとんどは坂道発進だと言い切っても良いくらい。
この写真のような微妙な坂道発進は本当に多いです。

小樽や函館なんかにツーリングに行くと本当に良い練習になりますよぉ。。。
そう考えると、普通二輪である程度慣れてから大型二輪にチャレンジすることはとても大切なんだなあと、この記事を書きながら改めて思い直した次第です。
坂道発進についての記事は以上になります。頑張ってクリアしてください。
この記事が参考になれば幸いです。
普通の発進について改めて確認したい人はこちらの記事をご覧ください。
↓
発進をカッコよく決める3つのポイント
卒業検定について気になった人はこちらの記事もご覧になってください。
↓
超緊張。卒業検定を突破!合格するためのノウハウを伝授 検定説明①
この記事を読んで緊張しちゃった人はホッと一息。
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