バイクの教習でつまづかないための秘訣!初心者のための「苦手なS字・クランクの攻略法」
オートバイの教習で「狭路の通行」という項目があります。
この「狭路の通行」が、技能教習の1段階での最初の壁でしょうか。
「なんでこんな練習をしなきゃいけないんだ!」なんて教習中に言い出しちゃう人。
「こんな道路なんて、どこにもないのに!」と卒業検定に失敗した後に言われることも。
確かにクランクのような道路は探してもなかなか見つかりませんね。
自動車学校で教習を受ける人の中で、最も不人気な項目かもしれません。
でも、この記事で取り扱うS字やクランクの練習は、ツーリング先などで駐車場が混んでいた時や、Uターンをしたくなった時に役に立ちます。
オートバイを楽しむためには絶対に必要な練習です。
苦手な人は頑張ってください。ツーリング先で必ず役に立ちます。

この記事では
- S字コースの2つのポイント
- クランクコースの4つのポイント
をお伝えします。
この記事を読んでもらえれば、次回から気分を新たにS字・クランクに積極的に挑戦したくなると思います。
いっしょに狭路を克服しましょう。

S字コースの2つのポイント
S字コース内での走行のコツは2つあります。
- 出来るだけ一定速度を保つ
- 走行位置を工夫する
教習指導員歴25年の経験上、S字コースでつまづく方はほとんどいません。
あえて言うならS字コースへの進入で多少手こずる人がいるくらいです。
入口さえクリアしてしまえば、あとは何てこともないでしょう。
大丈夫です。

出来るだけ一定速度を保つ
S字コース内では出来るだけ速度を変えないで通過すると簡単です。
もちろん「狭路の通行」ですから速いのは論外。
狭い道路を安全に通過するのが目的ですから、ゆっくりと通過しないといけません。
一定速度を保つ分かりやすい方法は「セカンドギアで何もしないで通過する。」
慣れないうちは軽く半クラッチを使うこともあるかもしれませんが、慣れてきたらクラッチを使用せずに、セカンドギアで通過します。
「一定の速度で走行する」ということは「一定のバンク角(車体の方向け具合)で走行できる」ということになり、走行位置も安定します。
どうしても怖かったら、後倫ブレーキを引きずるように軽くかけましょう。
前輪ブレーキはよほどのことがない限り(暴走を防止時)使うことはないです。
ブレーキレバーに指をかけておくことさえ必要ありません。
アクセルは使いません。
私は教習では必要ないと考えます。
一定の速度で通過できるように練習してください。
走行位置を工夫する
内輪差を意識する
「内輪差」って分かりますか?
前輪(前タイヤ)よりも後輪(後タイヤ)のほうが内側を通るという走行位置の差を内輪差といいます。
オートバイにも多少の内輪差はありますし、自転車にもあります。
内輪差を考えて、前輪をコースの中心位置から少しだけ外側を通すイメージで走行すると良いです。
後輪がコース中央を走行するイメージでも良いかもしれません。
自分の感覚のつかみやすい方で良いので意識してください。

自身のカラダの位置を意識する。
セカンドギア走行するので多少の速度はあります。
多少の速度があるということは多少の遠心力が発生します。
遠心力が発生するということは車体をバンクさせる(傾ける)必要があるということ。
コースの真ん中を走行しながら車体をバンクさせると、教習車両の後バンパーがコース内側のパイロン(ロードコーン)に接触する恐れがあります。
車体が傾くことをイメージして、自分の身体がコースの中央に位置するように走行すると、割とうまく通過できます。
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S字コースの走行は上記した「一定の速度」を保つ。
そして「内輪差」か「カラダの位置」か、どちらか自分でつかみやすい方の感覚を意識すれば、比較的簡単に通過できるようになります。
クランク通過の4つのポイント

クランクは苦手意識が強い方も多いと思います。
すでにオートバイの免許を持っている方も、クランクコースが苦手だった方は多いでしょう。
苦手ランキングで「一本橋とクランクが二大巨頭」だといってもよいでしょう。
卒業検定でも同様のイメージがあります。
クランクコースは、以下の4つがポイントになります。
- クランクコース内でクラッチ操作を変えない
- 小さいS字コースだと思い込む
- 入り口からクランクコースと同じ速度を作る
- 車体を傾けないで前輪で曲がる

クランクコース内でクラッチ操作を変えない
クランクコースは、セカンドギア(またはローギア)の半クラッチで通過してほしいです。
半クラッチでの走行は、私から言わせると「必ず」です。
クランクコース入り口前に差し掛かるころには「これくらいの半クラッチで行くぞ!」という半クラッチ状態を決めてください。少し強めの半クラッチがお勧めです。
それ以降は半クラッチの加減を変えない!
決めた半クラッチ状態を維持して、後輪ブレーキで速度を調節すると良いです。
半クラッチなのでエンストはしませんし、後輪ブレーキを踏む力を緩めると速度が少し上がるのでバランスを保ちやすいです。
失敗する人に限って、クランクコース内でクラッチを握ってしまったりするので、オートバイは急に進む力を失ってしまい、内側に切れ込むように倒れていくのです。
半クラッチを維持し、後輪ブレーキで「ちょっと待て!ちょっと待て!」という感じで速度を調節しましょう。

小さいS字コースだと思い込む
今さらではありますが、クランクコースをイメージしてください。
そもそも、バランスを取りながら走行しなくてはいけないオートバイが、あんなに「カクッ!まっすぐ!カクッ!」なんてライン取りで走行できるはずがないと思いませんか?
少なくとも初心者には無理です。
たぶん、私も無理です。
ましてや教習生は「まだ免許を取っていない人」なので初心者にもなれていません。
クランクは「カクカクとコース通りに通過しようと思ってはいけない」のです。
クランクコースの道幅をいっぱいに使って、出来るだけ「まるーく」通過するように意識すると良いです。
コース内をいかに通過しやすいラインで走行出来るか。と考えてみましょう。
「小さなS字コースと思い込む」のです。
この自己暗示。わりと効果ありましたよ!
入り口からクランクコースと同じ速度を作る
これ。
「クランクあるある」なんです。
クランクコース進入で、わりと雑に進入してしまい、
クランクコースの中で慌てて半クラッチを調節しなおしたり、
ブレーキをかけてしまって失敗。
足を着いてしまったり
停止してしまったり
中には転倒する人も。
私の知る限りクランクコースには左折進入のコースの自動車学校が多いです。
そして入り口は直角進入が多いです。
ということは
「入り口がすでにクランク!」
入口の角度とクランク内の角度は、ほとんど変わらないですよね?
クランクが上手く出来ない人は、クランク内に入ってから速度調節をします。
辛うじて入り口をクリアして、クランク内で慌ててしまうのです。
次回、自動車学校に行ったときに改めてよく見てみましょう。
入口の角度と、クランク内の角度にどれほどの違いがあるのか。。。
クランクが上手くいくかどうかは入り口で決まると言っても良いです。
入り口で、クランクコース内と同じ速度にしておけば、出口までスムーズに走行できます。
クランクの入り口で半クラッチを完成させて進入すると良いのです。

車体を傾けないで前輪で曲がる
クランクは、セカンドギア(またはローギア)の半クラッチで通過してほしいです。
半クラッチでの走行は、私から言わせると「必ず」です。
セカンドギア、もしくはローギアの半クラッチで走行するということは、まさに低速走行です。
※ローギア半クラッチは遅すぎて難しいので私はセカンド半クラッチをお勧めします。
人によっては、一本橋より速度は遅いかもしれません。
そんな速度で曲がるのですから「遠心力は無視しても良いほどの作用」しかないと思って良いです。
遠心力がほとんどかかっていないということは、オートバイの車体をバンクさせる(傾ける)必要はないはず。
それなのに、車体を傾けて曲がろうとする方が多い。
無理してバイクを傾けようとするので内側にふらつき。
結果として、内側に転倒しそうになるのです。
出来るだけ車体を傾けないように意識しましょう。
大型二輪は車体も大きいのでなおさらです。
気が付かないうちに、後ろのバンパーがパイロンに引っかかりますよ。

ニーグリップをしっかりして前輪で曲がっていく
例えば
友達と話ながら、自転車を降りて、押して歩いているときを思い出してください。
交差点などで曲がるとき、自転車を傾けて曲がる人はいるでしょうか?
自転車はそのままに、ハンドルで曲がっていきますよね。
自転車自体を傾ける人はそんなにはいないはず。
オートバイも同様です。
普通に考えたら、車体を傾けるほど転倒の危険性は上がります。
クランク走行中はゆっくりと走行しているはずです。
という事は車体を傾けて曲がる理由がなくなりますね。
バランスを取ってゆっくりと通過しながら、ハンドル操作をする。
絶対にニーグリップが必要なのは言うまでもないですね。
もちろん、まったく傾けないというわけにはいかないでしょうが、イメージとしては前輪タイヤの角度で曲がるイメージを持ってください。
大型二輪では車体が大きくて重いので、なおさらです。
逆に言うと。
「クランク内で車体を傾けて曲がらないと曲がれない」と思っている人がいたらそれは間違いです。
車体を傾けて曲がるという事はある程度の速度が必要です。
それでは速すぎるのです。
そもそも、あんな狭いところで車体を傾けたらバンパーとパイロンが接触しますけどね。。。
クランクは「狭路の通行」。
もっと言うと「低速バランス」の項目なのです。
ゆっくりと通過する練習なのです。間違えないようにしてください。
もちろん、指導員が車体を傾けるような指導をしていたら、その指導員は失格です。
追加ですが、オートバイは見ているところに向かっていきます。
パイロンなんかを見ながら曲がると、そっちに行っちゃいますよ!

まとめ
オートバイの初心者にとって大きな壁のひとつとなる、S字・クランクの走行でした。
「発進」「停止」「一般コース」の走行が安定して出来るようになってくると、1段階後半に乗り越えなければならない壁となります。
- S字は一定速度を保ち、自分の身体、または後輪がコースの真ん中を通っているイメージで通過する。
- クランクは、入り口から、速度と半クラッチの加減を決めて、後輪ブレーキで速度を調節しながら、出来るだけ車体を傾けないように、前輪の角度で曲がる。
もちろん
- 正しい視線のとり方
- ニーグリップをしっかりしていること
が大前提です。
冒頭にも書きました。
「なんでこんな練習をしなきゃいけないんだ!」なんて思わないように。
ツーリング先などで駐車場が混んでいた時や、Uターンをしたくなった時に「絶対に」役に立ちます。
卒業検定でクランクをどうやってこなすのか
気になる人はこちらの記事も参考にしてみてください。
↓
卒業検定「クランクが苦手」を克服!元指導員が教える5つのポイント
追記
「クランクの走行が苦手だ」
「クランクを克服したい」
と思っていて、クランクの走行ばかりを練習していてもダメです。
やはり基本が大切です。
運転姿勢ももちろんですが「クランクコースに向かうまでの運転」「クランクコースから出た後の運転」が大切です。
私が「クランクを不得意と感じている教習生」に教習する時は、ほぼ間違いなく「クランクコース以外のコース」で基本をみっちりとやり直します。
クランクが苦手な人は、クランク以外の普通の右左折を真剣に取り組んでください。
特に「この記事も読んでおいて欲しい」と思うものを以下の3つ選びましたので、気になる人はそちらの記事もぜひ読んでおいてくださいね。
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さあ、頑張って狭路を克服しちゃいましょう!

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