発進・停止時の無意識なNG行動と改善策4つのポイント。バイク初心者のバランス

海の見える丘の道 一般コースの走行

発進・停止に苦手意識を持つライダーは意外に多い

 教習指導員という仕事柄からでしょうか。。。

 休日に自家用車を運転する車内から、またはのんびりプライベートでツーリングを楽しんでいるとき、ついつい無意識に他のライダーの運転の様子を見てしまいます。

 そこで気が付いたのですが、どうやら発進・停止に苦手意識を持っている人が意外に多いようです。

  • ビギナーライダーからベテランライダーまで、バイク経験に関係なく
  • 性別に関係なく、年齢に関係なく
  • アメリカン、オフ車、レプリカ、ネイキッドなど車種に関係なく(今っぽく言うとクルーザー、クロカン、スーパースポーツ、ストリート系などと表現するのでしょうか。。。)

 「別に苦手意識なんて感じたことないけど」と思っている人も、発進・停止時にこんなことになってないでしょうか。

  • 信号が青になったときに、多少なりとも気を遣う
  • どうしてもふらついてしまう
  • 発進・停止と繰り返すだけで疲れてしまう(渋滞が苦手)
  • 無意識に呼吸を止めえている
  • がっつりと腕に力が入っている
  • 発進する時の音が毎回違う
  • ローギアになっているか過剰に気になってしまう
右足を着いて停止

 発進・停止時はバランスを失いやすく、慣れていないうちはなかなか緊張するのも確かです。
 そのようなライダーの微妙な緊張感は見ているこちらにも何となく伝わります。

 そして私はいつもツーリング中のライダーを観察しながら思ってしまいます。
「もっとバランスのとり方に気をつければ、楽に乗れるのになあ」
「教えてあげたいなあ」

 しかし心配は無用です。一般ライダーはみんな、発進・停止のテクニックは既に十分持っています。
 あと少しだけ「バランスのとり方に気を付ける」と、楽に「発進・停止」が出来ますよ。

 ということで、この記事では「どのようにして発進・停止時のバランスを保つか」についてお伝えします。
 この記事を読んだ後では、ずいぶんと「発進・停止」が楽になるんじゃないでしょうか。

 今、まさに自動車学校に通っているという教習生の人は、今後の教習に役立つと思いますよ。

どうやって発進・停止時のバランスを保つか

 発進・停止時にバランスを保つポイントは以下の4つです。

  1. 出来るだけ車体は直立を保つ
  2. オートバイを左に傾けようとしない
  3. 左足で蹴りだすようなイメージで発進しない
  4. 停止するまで左足は地面に着けない

 ひとつずつ、解説していきましょう。

出来るだけ車体は直立を保つ

 オートバイを右に傾ければ右に進んでしまう。
 オートバイを左に傾ければ左に進んでしまう。

 当然のことですよね。

 バランスを保つ最も簡単な答えは「出来るだけ車体は直立を保つ」です。

 発進・停止の操作をするにあたって、まずはバランスを保って転ばないようにしなければ、操作どころの話じゃないですよね。

直立状態をつかむ簡単なコツ

 直立を保つと言われても、うっかり右側に傾いたり、それこそ右にコケたりしたら怖いので、ついつい癖で左に傾けてしまう人も多いと思います。

 実は、オートバイを直立に保つためのちょっとしたコツがあるので紹介します。
 これは完全に私のオリジナルなので不安を覚える人は無理しないでくださいね。

まずは停止状態でオートバイに跨ってみます。

 平地の整った路面でオートバイに跨ってみてください。
 もちろんスタンドは外します。
 前ブレーキはかけておいた方が良いでしょう。

肩の力を抜いてリラックス
オートバイを直立に保った状態で両足を地面に着く

 オートバイを直立状態にするために、まずは両足を地面に着くようにしてください。

 両方の足の裏に体重を感じないように、両方の足の裏が地面に触れているだけの感覚になるように、直立を保ちます。

 ※自分の身長とオートバイの車格の問題で、両足を地面に着くことができない人は補助者が必要になります。補助者にオートバイを支えてもらいます。そのうえでシートにまっすぐに座って、左足を地面に着きます。

右足を地面から離す

 そのままバランスを変えないように、ゆっくりと右足を地面から離します。
 右足をステップに乗せ、後ろブレーキを軽く踏む。

 左足の感覚は「足の裏で地面に触れている」ことがわかる程度。
 この状態が理想の直立状態です。

 その理想の直立状態を保って発進すれば、真直ぐに発進できます。
 (アクセルを使って発進するのを忘れない)

 この「ほぼ直立状態」が実感できると、オートバイに乗るのが全然楽しくなり、しかも「かなり楽」になりますのでツーリングがもっと楽しくなります。

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オートバイを左に傾けようとしない

 上記の「出来るだけ車体は直立を保つ」とダダカブリですが、考え方としては大切なので、あえて言います。

 オートバイを「無理して」左に傾けようとしないでください。 

 発進・停止のタイミングは、最もバランスを失いやすいタイミングでもあります。

 特に停止時は後輪ブレーキをメインで使いたいので、右足を地面に着きたくないという事情もあり、無理してでも左足を地面に着こうとします。
「右足を地面に着きたくない」
「左足を地面に着かなきゃ」
 こんな思いが強くて、ついオートバイを無理に左に傾けてしまいがちです。

 当然のことですが、オートバイを左に傾けるとオートバイは左に倒れてしまいそうになります。

 それを防ぐには、左に曲がっていくしかありません。
 発進・停止のたびに左に曲がっていたら危なくてしかたがない。
 ベテランになってくると危ないということは無くなりますが、発進・停止のたびにそれをやっていると無駄に疲れてしまいます。

 出来れば、発進時・停止時はオートバイの車体を直立状態にしていたいです。

 しかし、ツーリング中のライダーを見ていても
「微妙に左にズレながら停止する」
「少しだけ左方向に向かって発進する」
 こんなライダーのなんと多いことか。
 もちろん、初心者ライダーにも多くみられますが、意外にベテランらしきライダーも多いですよ。
 あなたは大丈夫ですか?

「無理をして」左足を着こうとしない

 慣れていない時は、停止する時にステップから左足を放すことでバランスを失ってしまうことがあります。

 自動車学校の教えや私の他の技能教習の記事とは内容が真逆になってしまいますが「卒業後の、よりスムーズな運転のための考え方」として、あえて言います。

 出来るだけ、直立を保つ。
 停止時に「無理をして」左足を着こうとしない。
 決して「右足を地面に着いてはいけない」わけではないのです。

停止線に止まるオートバイ

 左ステップを踏んだまま、右足で止まったって良いんです。
 路面状態によっては左足を着きたくない時だってあります。

 惰性と絶妙な前輪ブレーキを上手く使えば、左足停止にこだわらなくても良くなります

 ぜひ、実践してみてください。
 劇的に、発進・停止が上達します。

 ちなみに
 この意識は自動車学校を卒業した後で持ちましょう。
 教習生には、まだおススメしません。
 もちろん転倒するよりはマシですが、卒業検定では右足を地面に着いて停止するのは減点の対象です。
 自動車学校で積極的に右足を着くのは避けましょう。

左足で蹴りだすようなイメージで発進しない

 信号待ちなどの停止中、オートバイを左に傾けすぎている人に見られる傾向です。

 私の見てきたイメージだと、発進操作に自信のないビギナーライダーに多いです。
 意外かもしれませんが体格的に小柄なライダーの発進バランスは絶妙に上手いです。
 逆に体格的に余裕のあるライダーが左に傾けてしまうことが多くみられますね。

 オートバイを左に傾けているので、そのまま発進すると左に曲がりながら走り出さないといけなくなります。
 それを避けるため、発進と同時にオートバイをグッと直立に戻しながら発進する人を見かけます。

 さらに付け加えると、発進時のアクセル・クラッチの操作に自信がないために、左足で前に蹴りだして発進を助けるような動きをするのです。
 自転車などと違ってオートバイは重いです。
 片足で蹴りだした程度で発進の助けになるようなチカラは発揮できません。

 発進はアクセルとクラッチにまかせて、左足は地面から離すだけにしましょう。
 極端な言い方をすれば、左足をズルズルと地面からひきづりながら発進するイメージを持ちましょう。※もちろん引きずってはいけません。イメージの話です。

 上記の「出来るだけ車体は直立を保つ」でも述べたように、発進時は出来るだけ車体を直立状態に近づけてください。

 つい左に傾けてしまうくせのあるライダーは、信号が青になるタイミングに合わせて少しづつ左足の裏にかかるオートバイの重さを抜いていきましょう。
 信号が青になり、動き出すタイミングに合わせて左足の裏からオートバイの重みがすっと抜けていくように発進するのがベストです。

 これに慣れてくると、発進がずいぶん楽になります。

腰は遠すぎず近すぎず

停止するまで左足は地面に着けない

 信号などで停まるときに左足を地面に「ちょんちょんちょん」としながら停止する人がいます。

 あまりに左足をステップから離すのが早すぎです。
 左の靴底ばかりが早くに擦り減ったりします。
 「ちょんちょん」のタイミングが悪いと、左足を自分のステップにぶつけてしまいますよ。
 足首の後ろから、ステップがグッと前にぶつかってくる形になります。
 これはかなり痛いらしいです。。。

 停止するタイミングに合わせて地面に足を着きましょう。

ステップから足を離すのが早すぎる場合

 左足を地面に着ける準備が早すぎると以下のようなことが考えられます。

  • ローギアにしてしまっているので、不意に信号などが青になり、停止する必要がなくなった時のギアの選択に困る。
  • 前方車両が少し前に動いて、停止位置が先にのびた時の対応に困る。
  • 片足だけで走行する距離が長くなりニーグリップが出来ないままの不安定な走行になる。
  • 速度が速い状態でニーグリップをしていないために不安定な走行になる。
  • 先にローギアにして左足を下ろして走行していると不測の事態に対応できない。※他車が強引に割り込んできたなど

 今、ぱっと思いついたままに書いてもこれだけのことが出てきたので、あまり足を早くに出しすぎるのは良くないです。

 停止位置に向かって走行しながら、速度に合わせた適切なシフトダウンをして、ローギアに落としきったら左足を出すようにすると良いのではないでしょうか。

 いま、私がこの記事を書きながら勝手にイメージしたタイミングは、停止する1~2秒前から左足を着く準備するくらい。。。

 一度、試してみてください。

オートバイのギア
停止直前で慌てて左足を出すのは避ける

 もちろん停まる直前に「オリャッ」と足を出すのも、バランスを崩す原因に。

 オートバイが止まる直前に左足をパッと出す人です。
 その行為自体がバランスを崩します。

 停止する場所が近づいてきたら、クラッチを握り速度に合わせたギアを落とします。
 そしてローギアにまで落として停止することが決定したら、バランスを崩さないようにゆっくり左足をステップから離します。地面に足を着く準備をします。

 そして、左足をステップから離すときに合わせて、右足で後輪ブレーキをグッとかけていくと良い感じに停まれるんじゃないかなと思います。

 最後は、前後のブレーキバランスに気を付けながら、オートバイが停止すると同時に、準備しておいた左足を地面に接地させます。

右足を着きたくなったら

 停止直前に微妙にバランスを崩して右足を地面に着きたくなったらどうすれば良いのでしょうか。
 初心者に良くある流れはこんな感じです。

  • あわてて右足を地面に着く
  • 後ろブレーキを踏めなくなる
  • 慌てているので前ブレーキを「ガッ」と握る
  • バランスを大きく崩して停止と同時に立ちゴケ。。
  • 立ちゴケはしなかったが、ブレーキレバーと一緒にアクセルを回してしまってエンジン音を派手に響かせながら停まる

 これらを避けるために

 まさに「停止する」という時に微妙に右にバランスが崩れたら、ハンドルを「ゆっくり」と「ほんの少し」右に切ります。
 そして後ろブレーキを少し強めに踏んでください。
 たったそれだけで左足を地面に接地しやすくなりますよ。

まとめ

発進と停止が安定するだけでバイクの運転が一気に楽しくなる

 安定して発進・停止が出来るようになると、自分の運転に少しずつ自信が持てるようになります。

 自身が持てるようになると、発進時にアクセルを積極的に使えるようになるので、さらに発進が安定してきます。
 停止にも自信が持てるようになるので、ダラダラとした走行にならずメリハリの利いた走行になります。

 メリハリのある運転が走行中のバイクを安定させますし、しっかりと「ブレーキの練習」が出来るようになり、さらに発進・停止が上達していくという超プラスなスパイラルに入る事が出来ます。

この記事のポイント
  1. 出来るだけ車体は直立を保つ
  2. オートバイを左に傾けようとしない
  3. 左足で蹴りだすようなイメージで発進しない
  4. 停止するまで左足は地面に着けない

 この4点に気を付けて運転をしてみるだけで、オートバイの運転がめっちゃ楽しくなります。

 めっちゃ楽しい技能教習では、当然運転技能自体もめっちゃ上達します。

 ツーリングでは疲労感がだいぶ変わります。

 そして以上の4点をおぼえているだけで、今まではイライラしていた渋滞が楽しい練習の時間に変りますよ。

 転ばない程度に楽しんでくださいね。

 発進・停止時のこまかな操作のコツはこちらの記事でもお伝えしています。気になる人はこちらも参考にしてください。
   ↓
発進をカッコよく決める3つのポイント。オートバイ教習攻略 発進
奥が深い!バイクのブレーキ操作。初心者必見。教習攻略 停止の仕方

 停止が安定してできるようになってきたら、今度は緊急停止のテクニック「急制動」という項目が出てきます。
 もちろん急制動は特に安全に直結する大切なテクニックですが、この急制動は技能教習では2段階でしっかりと学ぶことになります。
 気になる人はこちらの記事も事前に読んで予習しておくと良いですよ。
   ↓
 急ブレーキでも安全に停止する重要なテクニック オートバイ教習攻略 急制動

 

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