この記事を読んでクランクが劇的に得意になるわけではありません。しかし、卒業検定を控えてクランクに不安を感じているあなたが「これならイケるかも!」と自信を持って練習に臨めるように、元指導員の私が攻略の秘訣を分かりやすくお伝えします。この記事を読んだ後に「ひょっとしたらイケるかも」と卒業検定に向かっていける記事にしました。
卒業検定のクランクに不安を感じていませんか?
「クランク」と「一本橋」は、苦手な人にとっては大きな壁となりがちです。
この記事では、元指導員の私が「これならイケるかも!」と自信を持てる5つの秘訣を、卒業検定の合格に特化してお伝えします。

ニーグリップと目線
クランクの攻略にかかわらず、ニーグリップと目線の大切さはオートバイを乗りこなすために大切なポイントです。
ニーグリップと目線の大切さについては度々説明させてもらっていますので、あえてここでは大きく触れませんが、次の2点は忘れないようにしましょう。
ニーグリップをしっかりする!
車体と身体を一体化してハンドル操作に無駄な力が加わらないように。
クランクのような低速走行では、この一体感がバランスを保つ鍵となります!
ニーグリップについて更に詳しく学びたい人へ。
↓
正しい運転姿勢で安全運転!二輪指導員が教える7つのポイント オートバイ教習攻略 運転姿勢

目線を進行方向に向ける!
オートバイはバランスで乗るので、見ているところに向かってしまいます。
クランクでは次の曲がり角を先に見ることで、車体が自然と正しい方向へ導かれます。
決してパイロンなどを見ながら走行しないように!
良くも悪くも
オートバイは見ているところに向かいます!
目線と走行位置について詳しい記事はこちら。
↓
自動車学校コースの走行位置の基本を徹底解説 オートバイ教習攻略 走行位置について
クランク攻略の5つのポイント
卒業検定でクランクをクリアするためだけにフォーカスを絞って、ここでは以下の5つのポイントについて説明していきます。
- 入口で速度を決める!
- 半クラッチとリアブレーキで速度をコントロール
- フロントタイヤで曲がる
- 直線はない!
- 「前ブレーキは絶対に使わない」と心に決める!
では、ひとつづつ確認していきましょう。

最重要!クランクの入口で速度を完全に決めきる!
クランクの入口の進入角度をよく見てください。
ほぼ直角。90度に曲がっています。
曲がった先は当然クランクコース。狭いです。
卒業検定を受検中にクランク失敗する人の多くは「入口の速度調節で失敗」しています。
実際に私が検定を担当していても、クランクの入口で失敗した人はクランク内で検定が中止になる人が圧倒的に多かった気がします。
言い換えると「入口で失敗した人はクランクを通過できない」のです。
進入する前に速度を決める
入口から一車長手前まで(出来れば2メートル前)には、しっかりとスピードの調整を終わらせてください。
クランクを走行する速度を入口で完成させるのです。
そして、そのまま少しだけ走行し、その速度を維持したままクランクに進入するイメージです。
速度の調整が出来ていないままクランクに進入すると失敗します。
「よし、この速度ならイケる!」と確信してから進入します。

半クラッチとリアブレーキで速度をコントロール
上の「入口」のポイントにもつながるのですが、まずは半クラッチを決めきって「クランクコースを走行中はクラッチの加減は変えない」ように通過しましょう。
せっかく入口で「クランク通過用の半クラッチ」を決めたのに、クランク走行中にクラッチの加減を変えてしまうから失敗してしまうのです。
「速い!」と思った時
クラッチを握ってしまうから急に失速。
内側にふらついて足を着いてしまったりします。
クラッチを握ると速度が落ちるのはもちろんですが、オートバイが急に不安定になります。
「ヤバい、クラッチを握り過ぎた!」と焦ってレバーを放すのでエンストしてしまうのです。
速いと思ったら
速いと思ったら!
半クラッチはそのまま
リアブレーキで速度を抑える!
半クラッチであればエンストはしません。
しかも
リアブレーキを踏むと不思議と安定します。
入口までに決めた「半クラッチの調整具合は変えない」でください。
「速い」と思ったらリアブレーキで速度を抑えながら進む。
「遅い」と思ったらリアブレーキを離して速度を戻す。
どちらも「半クラッチがキープで来ていれば」ちゃんと進むし、絶対にエンストはしないはずです。
半クラッチを維持して、リアブレーキでスピードコントロールをしましょう。
クランク内で半クラッチをチョコチョコと変えてしまうから失敗してしまうのです。


フロントタイヤで曲がる
クランクを走行中の速度を思い出してください。
あんなにゆっくりと走行しているのに、オートバイを傾けて曲がろうとすると車体は内側に傾いてしまい、バランスを大きく崩します。
教習用のオートバイには転倒しても大丈夫なように頑丈なパイプで車体を守っています(バンパーと言います)。
クランクのような狭いコースでオートバイを傾けて曲がろうとすると、バンパーが接触する可能性も高まります。
勿論、バンパーが接触したら検定中止です。
遠心力はほとんど作用していない速度ですから、出来るだけオートバイは真直ぐに。
オートバイを傾けて曲がろうとは思わないでください。
車両は「前タイヤの向いている方向」に向かいます。
ニーグリップをしっかりして、腕の力を抜いてハンドルを進行方向に向けます。
「顔を進行方向に向ける」と思った方が良いかもしれません。
進行方向に顔を向ける
出来るだけオートバイは直立に近い状態を保ちつつ、進行方向に顔を向ける。
ニーグリップがしっかりと出来ていれば、ハンドルは自然と目線の方向に向くので、曲がりやすくなります。
オートバイを傾けないで、前タイヤで曲がるように意識しましょう。
やはり「ニーグリップと目線」が大切なのです。

クランクに直線は存在しない!小さなS字をイメージ
クランクコースの中に「直線部分はない」と思いましょう!
「スラローム」の項目や「メリハリのある走行」の記事でも触れましたが、傾いたオートバイをまっすぐに起こすためには、地面に足を着いて車体を持ち上げるか、加速したときの遠心力を利用して車体を起こすか。の2択になります。
クランクコース内で脚を地面に着いてしまうと減点の対象。最悪は検定中止となるので足を着くのは避けたいです。
だからと言って車体を起こすために加速をすると「狭路の通行」の課題からは外れたことになります。
速度が速すぎても減点されてしまいます。
しかもクランクコース内で加速すること自体が失敗の原因になることは明白です。
それを避けるためにも「直線」→「直角カーブ」→「直線」というコース設定にしないようにすることが大切です。
小さなS字コースだと思う
出来るだけ「まるーく小さなS字コースを通過する」イメージを持ってください。
直線部分を作らないようにするのです。
狭くてカクカクしたクランクコースの中で「いかにS字状に走るか」です。
出来るだけ効率の良いS字カーブをイメージして通過しましょう。

「前ブレーキは絶対に使わない」と心に決める!
「出来るだけ効率の良いS字カーブ」で通過したいです。
ずっとカーブ状態で通過したいのです。
そんな時に前(フロント)ブレーキを強くかけられる人はいません。
「スピードを落としたい!」
「ちょっと危ない!」
そう思ったときに前ブレーキをかけたら転倒してしまいます。
ただでさえ前ブレーキは強く止まれる半面、バランスを失いやすいのです。
クランク内では「前ブレーキは厳禁」だと思いましょう。
ブレーキレバーに指をかけない
上記の通り「前ブレーキは使いません」。
という事は
ブレーキレバーに指をかける必要がないのです。
ブレーキレバーを握ることを想定してアクセルグリップを上から持つ必要がなくなり、自然な運転姿勢になります。
グリップを自然な形で握れるようになります。
オートバイの安定性が増します。
スムーズにクランクコースを通過できるようになります。
ブレーキレバーを構えた状態でいるのはやめましょう。
フロントブレーキは強力な反面、バランスを失いやすい。
リアブレーキは弱い反面、バランスは保ちやすい。
クランクコース内ではゆっくりと走行していることが前提ですから、使うのならリアブレーキで十分でしょう。


まとめ
最大のポイントは進入時の速度!
卒業検定のすべてのポイントは「進入時」にかかっています。
- テキトウな速度で進入しない。
- テキトウな半クラッチのまま進入しない。
まずはこの2つがポイントです。
これが出来ていることが前提で「前ブレーキを使わない」ように「直線部分を作らない」ように走行するのがポイントです。
まずは卒業検定に合格することを目指しましょう。
- 進入する前から体制を整えて
- ニーグリップと目線に気を付けて
- オートバイを傾けてしまわないように
- 出来るだけ曲線状態
- 使うなら後輪ブレーキ
これらのことを忘れないように、卒業検定に向けて練習してください。

検定員の目線で
クランクなどのコースに関係なく検定中の走行の全てにおいて、転倒は即「検定中止」になります。
転倒以外でも、卒業検定でクランク走行中は次の3つは避けましょう。
いずれも検定中止となります。
- 曲がり切れずに停止
- 曲がり切れずにエンスト
- 曲がり切れずに後退
検定員は「安全に狭路を通過」できるのかを見ています。
決して運転のテクニックを見ているわけではありません。
「クランクを安全に通過できる人なのか」
このことを最も重要なポイントとして観察しているのです。
脚をついてしまっても気にしない!
ちょっとくらい脚を着いてしまっても気にしないでください。
上手く通過できる事より、安全に通過するように意識しましょう。
とにかく、通過してしまうことを第一に考えましょう!

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