大型二輪免許を取得する人にとっての難敵「波状路」。卒業検定で多くの人が苦戦する「波状路」をアクセルなしでも確実にクリアできるノウハウを3つのポイントにまとめました。
大型二輪で卒業検定を受検する時の課題「波状路」。
ガタガタと段差をクリアするコースを、立ち乗り姿勢でゆっくり通過しているのを見たことありますよね。
普通二輪等の教習には「波状路」という課題はありません。大型二輪の教習特有の課題です。
やはり大型二輪車を運転するには高度な運転技術が要求されるんですね。
この記事を見ているあなた。もう安心してください。
元指導員の私が、卒業検定で多くの受検生を合格に導いた波状路攻略の秘訣を3つのポイントに凝縮しました。
この記事でわかる事
- 前半 卒業検定課題「波状路」の課題履行条件。
- 後半 波状路攻略の3つのポイント。
- 「波状路でアクセルを使うタイミングが良く分からない」「本当にアクセル操作は必要なの?」という疑問に対する元指導員の答え。
この記事を読めば、あなたは自信を持って波状路をクリアし、卒業検定合格に大きく近づけるはず!

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波状路の課題履行条件
波状路は、自動車学校で「高度なバランス走行」のカテゴリーとして扱われます。
まずは卒業検定で波状路を通過するにはどのような条件が必要なのかを見てみます。
課題として大きく分けると以下の3つに分類できます。
- 運転姿勢
- 通過速度
- 検定中止事項
課題履行条件の考え方は、一本橋と同じと思って問題ないでしょう。
※一本橋についての記事をご覧になりたい人はこちらをご覧ください。
↓
卒業検定で一本橋を一発でクリアする!これであなたも自動車学校を卒業!
運転姿勢
波状路コース内は立ち姿勢で通過しなければいけません(AT免許は着座姿勢でも可)。
立ち姿勢については以下の2つに注意してください。
- フロントタイヤがギャップ(段差)に乗るときから
- リアタイヤが最後のギャップを通過するまで
フロントタイヤとリアタイヤの両方がギャップを通過している間は立ち姿勢が必要です。
波状路を完全に通過しきる前にシートに座ってしまうと減点
良くあるのが「フロントタイヤがギャップを通過したらすぐに座ってしまう」パターン!
フロントタイヤがギャップを通過して安心してしまうのか「リアタイヤがまだギャップを通過していない」のに座ってしまう人がいます。
リアタイヤがギャップを通過してしないという事は「まだ波状路を通過中」なので、その時点でシートにすわると減点になります。
リアタイヤが最後のギャップをクリアするまで、たち姿勢は維持してください。

通過速度
基準の通過時間は「おおむね5秒以上」。
時間の計測はフロントタイヤが基準です。
- フロントタイヤが波状路の最初のギャップに差しかかったら計測開始
- フロントタイヤが最後のギャップを通過したところで計測が終わり
波状路を通過するのが速すぎた時。
5秒以下で通過すると減点です。
減点方法は、一本橋やスラロームとは少し違います。
一本橋やスラロームでは、基準タイムから離れた分だけ減点になります。
「1秒こえたら何点」「2秒こえたら何点」となります。
ですから、一本橋とスラロームは可能な限り基準に近いタイムで通過したいのが本音です。
しかし波状路の場合は違います。白か黒。以下の2つのみです。
- 5秒以上だったか
- 5秒以下だったか
「大幅に速すぎても」「ギリでダメだったとしても」だめはダメ。減点です。
減点される点数に、両者の差はありません。

検定中止事項
検定が中止とされる内容は「一本橋」とまったく同じです。
- 脱輪
- エンスト
- 足つき
- 転倒
すべてが検定中止となります。
- 脱輪は、前後タイヤのどちらかが波状路コースから外れてしまった場合、外れた瞬間アウト。
- エンストは、通過中にエンストしてしまった場合。エンジンをかけ直してもダメです。
- 足つきは、ちょっとでも足を着いてしまったらアウト。
- 転倒は、その瞬間にアウト
フロントタイヤが波状路コースをクリアしていても、リアタイヤが波状路コース内に残っている状態で脱輪、エンスト、足つきをしてしまうと検定は中止です。
下の写真をイメージに重ね合わせてみると分かりやすいかもしれません。
↓

リアタイヤが砂利道を通過しきるまでは安心してはいけないという事ですね。
波状路を通過するためのポイント
ではここから「実際に波状路をクリアするためのコツ」を3つのポイントに分けて解説していきます。
速度調節
波状路を通過するために大切な最初のポイントです。
実は波状路を克服できない人の大半は進入時の速度コントロールに原因があると私は考えています。
実際の教習でも、進入時の速度コントロールについてしっかりと指導した教習生は波状路を難なくクリアできるようになっていました。
しかし、この点について重要だと感じている教習生は少なく、私のアドバイスに対しても最初は懐疑的な反応が多かったのは覚えています。
残念なことに、指導員でも進入速度にこだわる指導員は少ないのが現状です。
立ち姿勢になる前に「半クラッチを決めきる」
これが速度調節で最も大切なポイントです。
半クラッチが決まっていない状態で立ち姿勢にもっていったり、波状路コースの中でいつまでも半クラッチの調節をしていると失敗につながります。
最悪の場合はエンストして検定中止もあり得ます。

速度調節のポイント
進入手前は「ブレーキ」できっちり減速!
まだ立ち姿勢にならないでください。
ブレーキで狙った速度まできっちり減速します。
残念な減速の仕方は以下の通り。
残念な減速の仕方(例)
- なんとなくブレーキを使って減速を始める
- とりあえずクラッチを握ってしまう
- 速度に関係なく、指導員に言われたとおりのギアにしてしまう
- 惰性で走行しながら少しずつ速度を落としていく
- 惰性で走行しながらクラッチレバーを少しだけはなす
- 惰性で走行しながら立ち姿勢にする
- 惰性で波状路に進入してしまう
これが残念なやり方です。
これをやっていると「毎回微妙に違った進入速度」になり練習になりません。
教習生がこれをやっていて指導員からアドバイスが何もなかったら、それは指導員の力量不足か怠慢です。
惰性で目的の場所までに狙った速度にするのは相当高度な技術なのです。
必ず「ブレーキ操作」で速度を決めるように意識してください。
正しい減速の仕方(例)
波状路に進入するための減速操作を順番に追っていくと以下のようになります。
- 前後ブレーキを使って自分の思っている速度までしっかり減速を終える。
- エンジンが苦しそうになる。
- エンストしないようにクラッチを握る。
- ローギアにする。
- じゅうぶんにゆっくりになった「その速度を維持するために」半クラッチにする。
- 半クラッチで速度を一定に保つ。
- 半クラッチをキープして立ち姿勢に。
上記の操作を必ずひとつずつ確実にこなしてから、次の操作に移るようにしてください。
そして波状路進入の直前に、焦って調節し直すことのないようにしましょう。
「この半クラッチで行く!」と決めたら変えないで行く!これが大切なのです。

運転姿勢
次に気をつけたいのが運転姿勢です。
体重が後ろに行かないように気を付けてください。
細かい表現をすると、重心がステップよりも後ろにならないように。
ステップの真上よりも前に腰がくるように意識してください。
間違っても腰の位置がステップよりも後ろにならないようにしましょう。
腰が後ろに行と、最悪の場合はオートバイのコントロールが出来なくなって暴走ということも考えられます。
どこで身体を支えるか
大切なのは「立ち姿勢を取るときにどこで身体を支えるのか」ということです。
まずは、ハンドルグリップに体重を預けないように。
体重はステップに預けます。
立ち上がるときは、ニーグリップを意識してください。強く締める必要はないです。
むしろニーグリップは軽くで大丈夫です。
大切なのは「ニーグリップをしているときのひざの関節」の位置が、立ち姿勢を取るときにズレてしまわないように気を付けてください。
ニーグリップしている時の「ひざの関節を起点」に立ち上がり、体重はステップに預けたまま。
ひざの関節の位置は座っていても立っていても動きません。
ニーグリップをしていたひざの関節の真上に腰が来るのが理想です。
結果として腰の位置はステップよりも前に来ます。
そうして重心が後ろに行かないようにしてください。

最初はセンタースタンドを立てた状態で練習
慣れないうちはセンタースタンドを立てて「ハンドルを持たずに」ひざの関節を起点に立ったり座ったりを繰り返してみると良いです。
立ち上がる感覚がつかめてきたら、ハンドルを軽く持って半クラッチを維持したまま、同じ動作が出来るようにしてください。
ある程度イメージができてきたら、ローギアまたはセカンドギアでゆっくりと走行しながら立ったり座ったりを繰り返します。暴走を防ぐためにも半クラッチは維持したままにしましょう。
これらを繰り返して立ち姿勢に慣れてきたら、実際に波状路に入ってみることをおススメします。
逆に言うと!
このイメージがしっかりできていないうちから、波状路に挑戦しないでください。
緊張感と恐怖心もあり、少しでもバランスを崩してしまうと、腰が引けてしまい重心がステップよりも後ろに移動してしまいます。
立ち姿勢のままアクセルを回してしまうことになります。
暴走の危険もありますので、くれぐれも注意して、順を追って課題をクリアするようにしましょう。



段差の対応の仕方
立ち姿勢を維持するコツ
フロントとリア。両方のタイヤが段差をこえるたびに車体が揺れます。
車体が揺れるのに合わせて自分の体が揺れるようでは、正しい運転操作はできません。
「ひじ」と「ひざ」に余裕を持たせた姿勢。
「ひじ」と「ひざ」でショックを吸収します。
頭の位置と上体は動かないようにしましょう。
特に「頭」が揺れないように注意したいです。
バイクだけガタガタ動いて、上で操作している人間は動かない。
「ギャップに乗るたびに頭が揺れる」ことのないように
「ひじとひざはサスペンション」だと意識すると良いです。



アクセルとクラッチの調和
波状路コース内でクラッチを細かく調整するのは、私はお勧めしません。
エンストの可能性がかなり高くなります。
先に述べた通り、波状路コースに進入する前に「半クラッチの状態をしっかり決めきる」ことが大切だと考えています。
暴走を防ぐ注意点
注意して欲しいのは
立ち姿勢を基準にしてアクセルグリップを持たないように。
もし、そのまま座ってしまうと、ほぼアクセル全開になります。
グリップの持ち方は、座った状態を基準にするとより安全です。
座った状態のグリップの持ち方をキープして、ステップの上に立ち上がって下さい。

結論
自信がないなら無理してアクセルを使わなくても良い
半クラッチの状態をしっかりと作ったうえで、前後タイヤがギャップに乗るタイミングに合わせて、アクセルを軽くあおるように。と運転教本には載っています。
たしかに、正しい半クラッチがキープで来ていれば、タイヤがギャップにかかるたびにエンジンの回転を調節すればギャップを登るチカラが加わって波状路をクリアしやすくなります。
しかし、まだ慣れていないうちからアクセルを操作しようとすると、真下を見たままの運転になったり、アクセルグリップを真上から持ってしまい、バランスを崩したときに不意に加速してしまうことも考えられます。
現在(R7年7月)大型二輪の教習にメインで使われている車両(NC750)であれば、ローギアで少し強めの半クラッチをキープにしておけば、卒業検定の基準タイムは簡単にクリアできます。
「波状路」の項目の目的からは外れてしまいますが、ここでは卒業検定に合格することに重きを置いていますので、あえて断言します。※超個人的な意見です。
「アクセルを使わずに半クラッチのみで通過するのもあり!」
むしろ自信のない人はアクセルを使わないで波状路を通過することをおススメします。
※逆にアクセルを使うと基準タイムより速く通過してしまうことの方が心配になります。
アクセルを操作しないと思えば、波状路での運転姿勢も自然な状態の立ち姿勢に出来ます。
正直な話、今の自動車学校でメインで使われている教習車NC750はタンクの形状が立ち姿勢に向いていないので、立ち姿勢に慣れていない教習生は無理な姿勢になってしまう事が多いのです。
ずっと一定の半クラッチを維持できれば通過は簡単。速度的にも問題ないはずです。
ただし、上記「速度調節」で説明した波状路進入前の速度調節仕方は必ずできるようになっていてください。
波状路で大切なのは適切な半クラッチの状態と、ひじとひざを柔らかく使ってギャップを吸収できる姿勢だと考えます。
卒業検定当日。
波状路に自信のない人は、半クラッチだけで卒業検定を乗り切りましょう。
第一優先は、卒業検定を無事にクリアすることです。

まとめ
波状路は大型二輪特有の課題です
これまでになかった「立ち姿勢での運転」は慣れるまでは怖いかもしれません。
私は初めての時は怖かったです。。。
しかし、コツをつかんでくると、むしろ楽しくなります。
どうしても恐怖心がぬぐえない人は、小さなオートバイから始めてみるのも良いかもしれません。
そして、センタースタンドを立てて立ち姿勢の練習をするのはとても大切です。
「恐怖心を持ったまま」
「立ち姿勢が良く分からないまま」
波状路に入ってしまって暴走する人もいますから。
波状路は自動車学校特有のコースではありません。
ツーリング先で、急に舗装路面から砂利道になったりしたとき、立ち姿勢の練習をしておいて良かったと思うようなシチュエーションに出会います。
一本橋やクランクなどと同じように、「この練習はどの様なシチュエーションを想定した練習なのか」を意識するだけで、上達にかなりの差が付きます。
ちなみに下の写真、未舗装の路面なんですが、バイクのすぐ横に穴が連続で続いているのがみえますか?
↓

写真では分かりづらいですが全部で7つの穴がありました。
この場面では、波状路の練習の成果をとても実感できました。
ちなみにこの場面で私はセカンドの半クラッチで。
アクセルは一定のままで通過しました。
正直、楽しかったです。
卒業検定のような緊張した状況の中で落ち着いた走行が出来るように、普段からしっかり練習しておきましょう。
※記事の内容については、まったくの私個人の考えですのでご了承ください。
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卒業検定で一本橋を一発でクリアする!これであなたも自動車学校を卒業!