バイクに乗ることを検討している方、あるいはすでにバイクに乗っている方も、安全運転は常に意識すべきことです。 安全運転のために、どうしても欠かせないのは安全確認です。 この記事では、運転の基本を習う自動車学校での安全確認の方法をバイクの初心者の方でもわかりやすいように解説します。
一言で「安全確認」と言っても、自動車学校では、いろいろな種類の安全確認があります。
もちろん、自動車学校コースでの運転にかかわらず、一般道での運転に関しても同じですが、安全確認には以下の種類があります。
①乗車時の安全確認②発進時の安全確認③交差点の安全確認④まきこみ確認⑤進路(車線)変更時の安全確認⑥後方の安全確認⑦後退時の安全確認⑧右足を路面に着くときの安全確認⑨降車時の安全確認
こうやって並べてみると多いですね。
この中で、教習中も、卒業検定中も、卒業した後も、最も交通事故につながりやすいのが、③交差点、⑤進路(車線)変更時、⑦後退時、の安全確認ではないでしょうか。
当然、技能教習でも、卒業検定でも、安全確認は重要視されます。
安全確認について、ひとつずつ確認してみましょう。
①乗車時の安全確認
オートバイに乗車する時は、サイドスタンドから車体を起こします。
慣れていない時、緊張している時は、サイドスタンドから車体を起こそうとして、勢い余って反対側に倒してしまうことがあります。
オートバイにまたがるときも、バランスを崩してオートバイを反対側に倒してしまいそうになります。
乗車する時には、右後方の安全確認を忘れないようにしましょう。
②発進時の安全確認
発進時の確認は、焦っていたり、検定で緊張していたりして、意外に忘れやすいですから、気を付けてください。
よくありがちな失敗は、発進しようとしたら「他の車両が既に発進しようとしていた」。または「発進しようとしたらエンストしてしまった」。その直後に仕切り直して発進する時に、安全確認を忘れて、慌てて発進してしまうことです。
必ず、「発進する直前」の安全確認を忘れないようにしましょう。
③交差点の安全確認
交差点の確認は、教習中にも、検定後にも、注意を受けることが多い項目です。
確認するのを忘れていた。タイミングが遅すぎた。形だけの確認になっていた。などが多いです。
交差点の安全確認について、上手く出来ていない教習生に、私がいつも質問するセリフがあります。
「交差点の安全確認は、何のためにしているのですか?」と。
ほとんどの人が、「交差点の安全を確認するために」と答えます。
正解のように思えますよね。
でも、正解なのでしょうか。
「確認した結果、交差点が安全でなかった場合は、どうしますか?」と、聞き直すと、言葉につまる人が多いです。教習でも、検定でも、それは同じです。
確かに、交差点の安全確認は、交差点の安全を確認しているのですが、
私が欲しかった答えは「停止線を越えて交差点に入っても良いのか、停止線手前で止まるべきなのか」
を、決めるために見るのです。
この意識を持つことは、大きな意味を持つと、私は考えます。
中には、停止線を越えながら、左右の安全確認をしている人がいます。
止まれた時には、交差点に入っているでしょう。
横断歩行者がいた場合は、すでに接触した後になるでしょう。
遅い人になると、交差点の中で、左右の確認をし始めます。
検定用のアピールにもならず、逆に前方不注意を適用されるでしょう。私ならそうします。
交差点の安全確認は、何のためにするのか
「停止線を越えて交差点に入っても良いか、停止線手前で止まるのかを、決める」ために、交差点を確認しているのです。
くれぐれも、形だけの安全確認にならないようにしましょう。
④まきこみ確認
交差点を左折する時は「徐行」しなくてはいけません。
その時に、左後方から交差点を直進してくる軽車両(自転車等)に接触してしまうことがあります。
それを防ぐのが、まきこみ確認です。
特に普通車などの4輪車、トラックなどの大型車両を運転をする場合は、重要な安全確認です。
まきこみ確認も、確認した直後に左折すると、まんがいち、直進車がいた場合は接触してしまうので、徐行にした後は、まきこみ確認をしてから、前を向き直してから左折するようにしましょう。
横断歩行者を見逃さないようにするためにも、必要な手順です。
⑤進路(車線)変更時の安全確認
進路変更時の安全確認も、交差点の安全確認と同じです。
「進路変更をしながら」、または「安全確認をした直後」に、進路変更をする人がいます。
もし、並走車などがいたらどうするのでしょうか。
自分から、ぶつけに行くようなものですよね。
特にオートバイですから、バランスを変え始めたら修正がききません。「あっ!」と思っても既にバランスはそちらの方向に変ってしまっています。もう止められません。
もし、接触してしまった場合は、例えどちらが悪くても、接触した瞬間に、こちらが跳ね飛ばされます。
進路を変更しても大丈夫なのか。
安全が確認されて、大丈夫であれば、進路(車線)変更をします。
しっかりと前を向いて、走行位置に変なものが落ちていないか。路面状況を確認しながら、ゆっくりと進路変更を行いましょう。
⑥後方の確認
走行中は、常に後方の状態を確認するように努めましょう。
路端から発進する時や、進路変更が必要となったとき、その時に初めて後方の状況を確認しても、どうしてよいのか判断が出来ません。
常に後方の状態を把握しながら、運転が出来るようになりましょう。
オートバイの場合は、一人で走っているつもりでも、知らないうちに、後ろに他のライダーがついていることもあります。
そのときに、走行ラインがふらふらしていると、後方のライダーからは、ただのウザいライダーでしかありませんので、そうならないように。
後ろに他のライダーが来た場合には、安定した走行ラインを保つためにも、後方の状況は把握する必要があります。
後方の安全確認は、しっかししましょう。
⑦後退時の安全確認
バックする時の、後ろの確認は意外と忘れやすいです。
オートバイでバックする時は、両足でモタモタと下がることが多いですし、駐車場でバックする時、または「あ、やば。」と思ってバックすることが多いです。
駐車場の入り口で渋滞していて、少し下がりたくなった時に、すぐ後ろに、他の車両がいるのに気が付かずに後退を始めて、後続車両からクラクションを鳴らされないように気をつけましょう。
真後ろに、知らないツーリングライダーがいた。なんてことも良くあります。
オートバイには、ルームミラーがありません。真後ろにソロライダーがいても、気が付かないことも多いのです。ほんと、意外に多いです。
また、後退で駐車場に車両を入れる時は、駐車場所に、障害物等が何もないことを事前に確認しておくことも忘れないようにしましょう。
普通車などでの方向変換、縦列駐車などの、安全確認がそれにあたります。
⑧右足を路面に着くときの安全確認
停止した後に、ローギアにしたい時などに、右足を路面に着きたい時があります。
どうしても、車体を右に傾けないといけません。
すっかりすると、右側に倒れてしまう可能性があります。
右足を着いたその場所に、薄く砂が浮いていて、コケそうになることもあります。
右足を路面に着くときには、右後方の確認をする癖をつけましょう。
⑨降車時の安全確認
降車時も、乗車時と同様に、右側にオートバイを倒してしまうことがあります。
恥ずかしながら、私も一度、やってしまったことがあります。
しかも、教習指導員になった後のことです。
長距離を休みなく走り終わった後にバイクから降りようとして、身体が固くなってしまっていて、バイクから降りる時に右側に、バイクを倒してしまったことが「1度だけ」あります。
「あっ」と思ったときには、もう遅かったです。右側に倒れ始めたオートバイを、左側から止めることは不可能でした。
降車時は「特に長時間、走った後は」、右の後方確認を忘れないようにしましょう。
ここまで、様々な状況での安全確認の必要性をお伝えしました。
しかしながら、この「安全確認」を怠ったことによる交通事故は、後を絶ちません。
小さな転倒もさることながら、テレビなどのニュースで、交通事故になってしまった大きな事案も、既にご存じのとおりです。
安全不確認が原因で起きる事故は、ほとんどが「運転者の思い込み」と「運転者の慢心、油断」が原因だと思います。